1年の始まりに健康診断を受けよう!できればがん検診を!

雑記

年が明け、仕事に勉強に家事にとまたいつもの日常が戻ってきたであろう頃合いでしょう。

唐突ですが今回は健康診断についての「お願い」です。

昨年健康診断を受けていないよという方も中にはいることと思います。

今回はそんな健康診断について医療者からのお願いをこめた記事にしてみました。

  • 若いのに健診を受ける意味あるの?
  • 私は通院しているから健診を受ける必要はありません!
  • 私は働いていないからいいんですよね?

という人は絶対最後まで読んでください。最悪読まなくてもいいのでとりあえず健診に言ってください。

何故、健診にいけというのか

医療に携わるようになり早10年以上。

常々感じることがあります。

「こんな状態になってから来てももう助からんって・・・」

そういう人が1年に1人くらいいます。

と言いたいところですが、年に数人ほど見ます。

つまり、私一人でもそれだけ出会うので、病院全体では何十人といるでしょうし、都内だけでも何百人といるはずです。

みんな健診を受けなかったり、病院に通っているから平気と勘違いしている人たちなのです。

特に後者の人は要注意です。

例えば、糖尿病の人は採血検査や尿検査はやるでしょう。場合によっては目の検査もするかもしれません。しかし、胃カメラや心電図、レントゲンはしますか?便潜血検査は?

高血圧で通院をしている人はたまに採血をするかもしれません。では他の検査は何かしますか?

そう、しないことが多いのです。なぜならその科の先生はその科の病気には興味があるし、今見ている病気に関する検査はしますが、それ以外には興味がないのです。

興味がないというと語弊があるかもしれませんが、自分の外来で健診まがいに色々な検査を入れることはできないのです。保険診療を行っているので。その病名に関係する検査以外をやるには、その検査を受ける妥当性がないといけません。わざわざない病名をでっちあげることで検査するよりも、「患者は健診を受けているはず」という思いもあるので何かあれば健診で引っ掛かるだろうくらいにしか思っていません。

3か月に1回主治医に会えば検査をしてなくても危ない病気にはならないだろう、なんて甘い考えは捨ててください。自分の身は主治医がまもるのではなく、自分で守ってください。

健診を受けなくていい人はいない

そもそも健康診断は基本的には会社に属していれば1年に一回受けるものになっています。

これは労働安全衛生法によって企業に義務付けられたものになります。

では、会社に属さない自営業の人や主婦、定年後の人は健診を受けなくていいのかというとそういうわけではありません。

当たり前ですが、病気は誰にでも起こるもの今が元気だからと言っても必ずしも病気がないわけではありません。ちなみに、癌は初期の症状は全く何もありません

健康診断の検査項目は?

企業に義務付けられた健康診断には5つのものがあります。

  • 雇入時の健康診断(労働安全衛生規則第43条)
  • 定期健康診断(労働安全衛生規則第44条)
  • 特定業務従事者の健康診断(労働安全衛生規則第45条)
  • 海外派遣労働者の健康診断(労働安全衛生規則第45条の2)
  • 給食従業員の検便(労働安全衛生規則第47条)

この中で一般的な定期健康診断についてみてみます。

検査の項目は次の通りです。

  1. 既往歴及び業務歴の調査
  2. 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
  3. 身長、体重、腹囲、視力および張力の検査
  4. 胸部エックス線検査及び喀痰検査
  5. 血圧の測定
  6. 貧血検査
  7. 肝機能検査
  8. 血中脂質検査
  9. 血糖検査
  10. 尿検査
  11. 心電図検査

しかし、医師が必要でないと認める場合に次の検査項目が省略できてしまいます。

  • 身長の検査(20歳以上の者)
  • 腹囲の検査(40歳未満の者(35歳を除く)、妊婦、BMIが所定値未満の者)
  • 貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、心電図検査(40歳未満の者(35歳を除く))
  • 胸部エックス線検査・喀痰検査(40歳未満の者(20歳、25歳、30歳、35歳を除く))

正直、上記検査を全て省いた定期健診に何の意味があるかわかりません。

できれば受けてほしいがん検診

がん検診は「胃がん」「子宮頸がん」「肺がん」「乳がん」「大腸がん」を対象として検査が行われます。

肺がん検診はレントゲンと喀痰細胞診なので一般的な健康診断でカバーできますが、それ以外のがん検診の内容は一般的な健康診断ではカバーされません。

そのため、一般的な健康診断を受けていてもがんが見つかる可能性は低いのです。

ちなみに癌を見つけるための採血検査で「腫瘍マーカー」というものがあります。しかし、残念ながら腫瘍マーカーが正常な値であっても癌の人はいます。逆に異常値でも何も癌がないよという人もいるので、参考程度にしかなりません。

がんが進行して受診する人の一例

架空の患者をご紹介しますが当てはまると思う人はすぐに病院で相談をしましょう。

①42歳男性 自営業

数カ月前から体重が徐々に減り始めており、10㎏ほどやせてしまった。倦怠感も2か月前頃から出始め、便秘と下痢を繰り返していた。食事もだるさからか取れなくなってきており、お腹がはってきた。少し前は排便時に出血もあったが、ここ数日は便も出ずお腹のはりで痛みもでてきてつらい。健診は行っていなかった。

②45歳女性 会社員

一昨年ごろから右胸にしこりがあるような気がしていた。痛みもないので様子を見ていたが、だんだん大きくなってきていることはわかっていた。仕事と家事で忙しく、病院に行く時間もなかったことや痛みはないため平気であろうと思っていた。3か月前から右胸の表面が赤くなり、痛みも出始め、ついには表面から膿がでるようになった。健診は行っており採血やレントゲンを受けており、一度レントゲン異常を言われ要精検となったが忙しかったため受診はしていなかった。

③72歳男性 無職

40代の頃から高血圧で近くのクリニックに通院をしていた。タバコを1日20本吸っているのを先生に注意されていたが、やめられず今も吸っている。4か月前くらいから咳や痰がひどく出るようになった。たまに血が混ざることがあったが、咳のし過ぎと思っていた。ここ1週間ほど呼吸が少し苦しいような気はしていたが、今朝真っ赤な血を吐いてびっくりして救急車を呼んだ。健診は仕事をしている時は行っていたが、定年退職したあとはクリニックに通っているため行っていない。

①の人は大腸癌の可能性

keywordとしては「体重減少」「便秘と下痢を繰り返す」「排便時の出血」。

すでに数カ月前の体重減少時にはそこそこの癌があったと考えられます。その癌が大腸の中を占拠していった結果、便が通らなくなり便秘になり、わずかな隙間から液体状になった便だけが通り過ぎて下痢としてでていたのでしょう。そんな下痢と一緒に癌からの出血が出てきたと考えられます。運が良ければStageⅡかⅢ、そこまで大きくなるには時間もかかり、肝転移なども出てきてもおかしくありません(StageⅣ)。

健診を行っていれば問診で疑われた可能性やがん検診で便潜血検査をしていれば体重減少よりも前に癌に気が付いた可能性があります。

②は乳がんの可能性

keywordは「だんだん大きくなる胸のしこり」「皮膚の発赤」「レントゲン異常」。

胸のしこりに関してだけでは勿論癌であるとは言えません。しかし、徐々に大きくなってくることや、レントゲンで異常が指摘されるほどのものは良性のものとは考えにくいです。また、皮膚の発赤を伴うようになるとそれは癌が表面に出始めているということ。

健診に行っていても、要精検をほったらかしにしていては意味がありません。健診の人の仕事はあくまで健診まで。自分で行動しなければその先の病名はわかりません。

③は肺がんの可能性

keywordは「タバコ」「血の混ざる痰」「喀血」。

たばこを吸う人が全員肺癌になるわけではありませんがやはり可能性は上がってきます。

また、癌が気管支に顔をのぞかせるとそこから出血をするため血が混ざった痰がでてきてもおかしくはありません。さらに進行すれば癌自体からの出血の多さで血を吐くでしょう。

前述した通り、普通のクリニックではレントゲンをとることもしないでしょう。特に症状の訴えがなければなおさらです。

さいごに

癌は初期でくれば治せないものではありません。5年後の生存率を上げるためにはなによりも早く癌をみつけて治療をすること。

転移をしているStageⅣでは適切な治療を受けたとしても100人中数人程度しか5年後は生きられません(※癌の種類にもよります)。

年が明けて心機一転のまさに今健診を受けてみてはいかがでしょうか?

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