今回はマンガ「自殺島」のご紹介になります
こちらの作品はヤングアニマルで2008年から2016年にかけて連載されていたマンガになります。
全17巻の完結作品になります。
タイトルが危うい感じですが、ぜひ一度読んでいただければと思いご紹介をさせていただきます。
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あらすじ
主人公のセイは自殺未遂を繰り返す青年であった。ある日、病院のベッドの上で意識を失ったセイは目が覚めると別の場所に移動をしていた。そこには、自分と同じ自殺未遂者たちが大勢いることに気づき、今いる場所が自殺の常習指定者が送り込まれる「自殺島」であることを知る。
周りのものもその事実に気づき、建物から飛び降り自殺をするものが現れる。しかし、飛び降りたものの死に損ね苦しむ姿を目の当たりにし、セイは自殺をすることを踏みとどまる。「死ねないならば生きるしかない」という矛盾を抱えながらもサバイバル生活が始まる。
やがてセイの所属する山側のグループと敵対する海側のグループに別れていき。
作者は?
『自殺島』の作者は森恒二先生。
他の作品には『無法島』や『ホーリーランド』、そして現在執筆中の『創世のタイガ』などがあります。
小さいころから親の勧めでリトルリーグで野球に打ち込んでいましたが、中学1年生の時に『がんばれ元気』という作品を読んで漫画家を志したそうです。
高校に入学すると『ベルセルク』の作者である三浦健太郎先生と友人となり、二人で作品をかき「週刊少年サンデー」に投稿し最終選考に残ったとのこと。
その後もお二人は交流があり、互いのマンガのストーリーや設定について相談をしあう仲だったようです。三浦健太郎先生が無くなってしまい『ベルセルク』は未完となりましたが、森恒二先生が監修となり三浦先生の弟子たちにより連載が再開されています。
登場人物
セイ
主人公で自殺未遂の常習者。
人生の目標や活力を見いだせずオーバードラッグやリストカットによる自殺未遂を繰り返していました。
結果、常習指定者となり他の常習指定者とともに自殺島に連れてこられることに。
山側のグループに所属し、栽培や漁をおこなっていたが、山の稜線に鹿が通っているのを見つける。自分たちとは異なり生気に満ちた姿をみて惹かれていく。
イキル
セイが狩猟をしているときに出会った先住者が飼っていた犬の中の1匹で子犬。
肉を分け与えたときに燻製の作り方とともに譲り受けました。その後は躾を行い、狩猟のパートナーとして連れ歩くようになりました。
リヴ
10歳の時に母が自身を残してロシアに帰国したのちに暮らしが荒んでしまい、父親の元から親戚の家に預けられるようになりました。しかし、性的虐待を受け続け心と体を切り離し人形のようになり耐えてきた。その後一人暮らしを始めても男性とまともに付き合うことができず自殺未遂を繰り返していた。
個人的感想
ここからはネタバレもあるため注意してください。
それぞれの理由
自殺島には自殺未遂常習者がつれてこられますが、中には「本当に自殺未遂の常習者なの?」という人も。
登場人物全員の過去はかたられないですが、自殺する人の理由はいくつもあるもの。
愛する者を無くしてしまったり、事故で人を殺してしまったり、家族から疎まれたりと。
他のマンガとは異なりリアリティーがあるなぁと思ってしまいました。
登場人物の成長
全員元々は自殺志願者だったはずなのに、最終的には「生きる」ために他の仲間とともに協力をして田畑を耕したり、漁や猟をしたりして生きていきます。
その過程でそれぞれの価値観の変化、「生」に対しての渇望が描かれていきます。
実際には誰もが追い詰められたらなんでもできるわけではなく、自殺に走るものや略奪に走る人もいると思います。マンガの中でもそういうキャラもいました。しかしその中で、それぞれの役割を生きていくキャラたちもいます。
ミノルのように田んぼを作ることに生きがいを感じるようになったり、ボウシのように徐々にみんなに認められ様々な道具を製作したりと成長していく姿も描かれています。
一番の成長は主人公でしょうが。
被害者と思っていたが相手からすれば最初に手を出した加害者だった
作中で海側のリーダーのサワダは力で従わせる暴君としての姿として描かれています。
その生活に嫌気がさし山側のグループであるセイたちの元に逃げ込んだナオ。
セイたちはナオを守るために海側グループから連れ戻しに来た男どもを追い返します。しかし、その後サワダ自身がやってきて戦闘に。
そこからは海側グループが攻めては山側グループがやり返すという報復合戦に発展していきます。
しかし、ある時海側の敵を一人連行したときに言われます「お前らが先に脅してきた」と。
ナオを最初に連れ戻しに来た3人組はケンによって弓矢で威嚇をされて帰っていきました。また、海側の攻撃の後に話し合いに行った時にも山側のセイは「射殺す」と発言をしています。
海側の下っ端たちからすれば元仲間を連れ戻しに行ったら弓矢で脅され、その後本拠地に乗り込んできたかと思ったら射殺すと明確な殺意をぶつけられ、「山側は争いを好む」と思われていたようでした。
些細なすれ違いや被害者意識が戦争に発展していく、その様子が描かれており考えさせられることがおおいと感じました。
さいごに
今回は『自殺島』を紹介させていただきました。
とても面白いだけでなく色々と考えさせられる作品であり、皆さんにもぜひ読んでもらいたいと思います。
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