『きみの膵臓を食べたい』のすすめ

本・映画

今回はアニメ映画かつ実写邦画映画にもなった上記作品についておすすめの記事を書いていきます。

今回は実写映画をみての感想になります。

あらすじ

主人公の春樹は病院の待合で本が落っこちているのを見つけます。その本のタイトルは「共病文庫」。

クラスメイトの山内桜良の日記帳で、膵臓の病気により余命が長くないことが書かれていました。

春樹が「共病文庫」を読んだことを知った桜良は家族以外に自分の病気を知る唯一の存在として近づいていきます。

「死ぬ前にやりたいことリスト」に付き合うことになり、いやいやながらも付き合ううちに当初人への興味がなかった春樹は次第に人に心を開くようになっていきます。

そして最後は・・・

タイトルにこめられた意味

作中でカニバリズムのお話もでてきますが、「肝臓が悪ければ肝臓を食べてよくする、胃が悪ければ胃を食べてよくする」という考えかた。

そこからヒロインがふざけて自分の膵臓の病気を治すために「君(春樹)の膵臓を食べたい」というシーンがあります。

実はそれ以外でも同様のセリフがでるタイミングがあるのですが、それはネタバレにもなってしまうのでここでは書きませんが、そういうところからタイトルにつながります。

志賀春樹

実写版では原作にない12年後の世界が織り交ぜられており、学生時代は北村匠海さんが、大人になると小栗旬さんが演じております。

元々人との交流がなく図書委員をしている内気な主人公。

桜良とであうことで少しずつ色々な人と打ち解けていきます。

作中ではあまり名前がでず、「仲良し君」「きみ」などと呼ばれています。

ちなみにパラパラと漫画版をひらいてみると「地味なクラスメイトくん」「?????くん」「目立たないクラスメイトくん」とも呼ばれているようでした。

山内桜良

実写映画では浜辺美波さんが演じています。膵臓の病気をもつヒロイン。正式な病名は作中には出ていなかったかと思います。

明るい性格でふるまう彼女。

「死ぬまでにやりたいことリスト」を作り春樹と一緒にリストをクリアしていきます。

その中には博多への旅行をはじめかなり思い切った内容も。

実は共病文庫を拾われてしまう前から春樹のことが気になっていたよう。

実写映画とアニメ映画

原作は2015年に作家の住野よるによって書かれました。

実写映画は2017年に、アニメ映画は2018年に公開されました。

実写映画は原作にはない12年後が合間合間に入ってきます。どちらかというと12年後の回想の中で高校時代の出来事が描かれているといった感じです。

個人的にはアニメ版の方が好きですが、実写版もいい作品だと思います。

この記事を書いている時はAmazonプライムビデオで実写版を無料で見ることができます。

個人的感想

以下はネタバレを含みますのでまだ見てない人は読まないでください。

ヒロインの明るさ

余命が1年と聞いたとき普通はどのような感情になるでしょうか。

現実的には悲哀にみちていくはず。少しすれば受容できるようになると思いますが、高校生の女の子がそんなに受け入れることができるでしょうか。

しかし作中では笑顔で主人公に接することが多い桜良。

「腐っているのは私の膵臓です」と自虐をしてみたり、おみくじを引いて「治んないっつうのにね」と言いながら笑うなどとにかく明るくふるまっています。

最初は感情が吹っ切れすぎて壊れてるのかと思いましたが、彼女なりの考えがあって明るくふるまっていました。

しかし、旅行でも一瞬不安を吐露するかのような描写があったり、終盤にはやはり不安につぶされそうになる心情が描かれていました。

不安に潰されそうになりながらも明るくふるまっていたことがわかりました。

ただただ天真爛漫に生きているように見えてそうではないというギャップがありました。

主人公の両親ってどうなってるんだろ

死ぬまでにやりたいことリストで博多に向かうことになった主人公。

ヒロインの桜良は前もって自分の親に「恭子(友達)の家に泊まる」という嘘をついていたので納得できますが、主人公はどうしたんだろうという素朴な疑問が出てきました。

男のことはいえいきなり宿泊してくるって寛容すぎだろと。

いや、病院にそんなに忍び込めるか?

作中で桜良が入院となり夜に忍び込み会いにいくシーンがありました。

病院で見舞いというものはありますが、夜にきても追い返されるのがおちだと思うんですよね。

だからこそ忍び込んだのかもしれませんが、警備が雑すぎる!

生きることは誰かと心を通わせること

「誰かと心を通わせること、かな。誰かを認める、好きになる、嫌いになる、誰かと一緒にいて手をつなぐ、ハグをする、すれ違う、それが生きる。自分一人じゃ生きているってわからない。そう、好きなのに嫌い、楽しいのにうっとうしい。そういうまどろっこしっさが、人とのかかわりが、私が生きているっていう証明だと思う。だから、こうして君といられてよかった。君がくれる日常が、私にとっての宝物なんだ。」

入院で夜に会いに来てくれた主人公が「生きるってどういうこと」という質問に対する答えが上記になります。

少し良いセリフだなと思いました。

ガム君こと宮田一晴

ことあるごとにガムをくれようとする彼ですが、わき役としては個人的に最高の立ち位置。

主人公がうわばきを隠された時も、(たまたま?)見つけてきて渡してくれます。明らかに自分で捨てるような感じではなくいたずらで隠されているとわかるような状況でも深くは聞かず、入り込みもしないといういいやつ。

3回目にガムを提案したところまさかのガムを受け取ってもらったことで意表をつかれた顔をするシーンも印象的です。

主人公が他の人にも心を開いていったことがわかる描写でもありました。

そして最後は結婚式でもガムを差し出してくるという安定のガム君でした。

最後の涙

それまで桜良の前で感情を出すことはなく、桜良が死んだ後も涙を流すシーンがなかった主人公。

しかし、桜良の共病文庫を受け取り、その中身を見た主人公はついに涙を見せてしまいます。

それまで受け入れられなかった死を本当に受け入れた瞬間だったのでしょう。

その姿がとても印象的でした。

そしてその涙のシーンの前の桜良の共病文庫の中身を読むシーンでの回想シーンがより一層感動を増幅させています。

命について

余命が決まっている物語はほぼ病気により最期を迎えますが、この作品は違いました。

1年後の春までは生きているものと思っていたのに視聴者も驚かされたであろう突然の死。

序盤に伏線はあったもののまさかの寿命を迎える前に通り魔にあってしまうとは。

一時退院をして前向きになったヒロイン、退院することを知って桜良が見たがっていた桜が咲いている風景を見せるために自分から積極的に旅行を計画していた主人公。

そんな明るい未来は唐突に突き落とされてしまいました。

作中にもあった「残り僅かな余命を全うできるものだと思い込んでいたんだ」「明日どうなるかなんて、だれにもわからない、だから、今この一日をこの瞬間を大切にしなきゃいけない」というセリフ。

まさにその通りだよねと思わされました。

平均寿命が高い日本でも、若くして亡くなる人はごまんといます。

交通事故で亡くなる方が減っているとはいえ、一定数はいます。

当たり前に過ごしていた日々は、明日当たり前にくるとは限らないということを思わされる映画でした。

さいごに

この映画は自分はアニメ版からはいり、その後実写版をみました。

そして今は本も買ったので合間をみて読みたいと思います。

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