今回は2009年のアメリカ映画であるこちらをご紹介させていただきます。
個人的感想ではネタバレを含んでいるのでまだ見ていない方は見ないでください。ぜひネタバレ前に鑑賞を!
こんな人におすすめ
- 病気の子をもつ親
- 子供に自分の意思を押し付けているかも、という親
- 単純な感動系ではなく闇深い内容のものをみたい人
- 医療者
ストーリー
アナの姉は2歳の時に急性前骨髄球性白血病を患ってしまいます。家族のだれもがドナーになれませんでした。父親のブライアン、母親のサラはある決断をします。それはアナを産むこと。彼女は姉のケイトのドナーとなるべく遺伝子操作を行い人工授精で造られた「デザイナーベビー」なのでした。幼いころから様々なドナーになってきたアナはある決断をします。それは、もうドナーをやめることに。そして彼女は弁護士を雇い・・・。
タイトルに込められた意味
私の中のあなたとは「誰」の中の「ダレ」なのか。
順当に考えれば「私」は主人公となるでしょう。では誰がこの映画の主人公は誰なのか。
それはアナになるでしょう。「アナ」の中の「ケイト」というところでしょうか。
アナにとってケイトは普通の姉ではありません。ネタバレになってしまうので詳しくは書けませんが特別な存在でした。
一方で私を「ケイト」と考えることもできます。
「ケイト」の中の「アナ」という逆のパターン。
ケイトの中にはアナの血が流れています。
ケイトを5歳~今まで生かしてきたのはまぎれもなくアナです。
個人的感想
ケイトの主治医
アナを生むように提案した元凶として物語序盤に登場します。
最初は「何言ってくれてんだこいつは」と思いました。
しかしその後ケイトの治療での彼の役割は最初の印象を覆すものでした。
患者本人に寄り添う先生でした。
最終的にはケイトがしたいこと、「海に行きたい」という希望を快く承諾してくれています。
なかなかこんな医者は多くないと思います。ふつうは「何かあったら大変」と許可がでないでしょう。
まして感染しやすい体で雑菌だらけの海に行かせるなんて。
思わず涙を流すアナ
デ・サルヴォ判事との会話の中で昔のケイトとのやりとりを思い出し涙してしまいます。
本心では姉のケイトを苦しめたいわけではないことを思ってなのでしょう。
しかし、最後にわかるケイトによる指示で裁判を起こしていたと知るとまた変わった受け取りをしてしまいます。
ただ単に「姉のことを苦しめたいわけではない」という思いではなく、姉に頼まれてやっていることであり、「本当は助けたい」という気持ちが強く表れていたということなのではないかと思いました。
テイラーの存在
治療中に出会う白血病患者の青年と仲良くなり恋人関係となります。
ただただ、つらい日常の中に心の支えとなるパートナーが現れればつらい日常も和らぎます。
おそらく一生のうちでその期間が一番楽しいのだと思います。
しかしそうそううまくいかないのがこの病気の大変なところですよね。
ダンスパーティー後のやりとりで「死ぬのは怖くない」といった彼は、ケイトと次に会うことはありませんでした。
それまで続けていた治療が、彼といることで区ではなくなったのに対して、彼を失ったからこそ「もう治療をしたくない」という最終決断に至ったのかもしれません。
最後までテイラーが生きていたら、腎臓移植も受けた終わりがあったのかもしれません。
少し思ったのは、キスで抗がん剤の味はしないよ?という無粋なことでしょうか・・・
実は原作は実話をもとにしている
この映画、原作とは少し違うらしいのです。
原作ではケイトがなくなってしまいますが、原作ではアナが脳死となり最終的に腎臓を移植するようです。
また、さらにこれは実話をもとにしたお話であるということです。
実話としては16歳の女性が突然白血病にかかり妹が生まれます。しかし、実話のほうは誰も亡くなることなく、姉妹の絆つよく育っているようです。
命の取捨選択
この作品をみて思うことは「命の取捨選択」です。
一つ目は、やはりアンの生い立ちでしょう。
彼女は作中では人工授精によって生まれてくるという存在でした。これだけでは取捨選択にはなりませんが、問題はドナーとして生まれてくるために遺伝子をみて生まれてくる子を選別するということは、「命の取捨選択」に相違ありません。
もう一つは、母親の行動でしょう。
ケイトを助けたいあまりにアンにはほぼ選択権がなくドナーとして彼女の一部を姉に提供させていました。副作用でダウンするかもしれないという可能性を理解しつつ、アンのことを考えずにケイトを助ける方向にだけ突き進むのは「命の取捨選択」ということにつながるのではないかと思われます。まして片腎をあげてしまえば、残った側がダメになればアンが一生透析になってしまいます。そうなれば人生の大半を透析という治療に使ってしまうことになります。
ケイトを助けるためにアンに犠牲を強いるというのは明らかに取捨選択ですよね。
さいごに
今回は『私の中のあなた』をご紹介させていただきました。
ぜひ皆さんも一度は見ていただければなあと思います。
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