『生きる LIVING』のすすめ

今回は2022年のイギリス映画のご紹介です。

この映画は1952年に公開された黒澤明監督の映画「生きる」のリメイク作品となっています。

前評判なしにたまたまアマプラのおすすめに出てきたのを見ましたが、とてもよかったのでお勧めします。

基本的にはネタバレを含まないようにしますが、個人的感想ではネタバレを含んでいるのでまだ見ていない方は見ないでください。

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あらすじ

1953年のロンドンでウィリアムズは市民課の課長として淡々と仕事をこなしていた。周囲あらは他人を寄せ付けない人柄と捉えられ、部下たちは冗談を言うことも控えていた。ある日、婦人会の人たちが資材置き場を公園にしてほしいという陳情をもってくるがたらいまわしにあっていた。新人のウェイクリングを案内係として婦人たちに同行させるが、やはりたらいまわしにあってしまう。最終的に市民課に戻ってきた陳情書は未決の棚に放り込まれ「支障はない」というだけであった。

その日、ウィリアムズは早退をし病院へ向かった。検査結果を聞きに行ったウィリアムズは末期がんの宣告を受ける。同居の息子夫婦に話そうとするが、夜遅かったため断られてしまう。翌日彼は初めて仕事を無断欠勤し海辺のリゾートで人生を楽しもうとしたが遊び方がわからず、入ったレストランにいた男に話しかける。

タイトルの意味

「生きる LIVING」というタイトルですが、前述したように1952年に放映された黒澤明監督の「生きる」のリメイク作品というところから日本語タイトルはこのようになっています。

癌の末期であることを宣告されたウィリアムズ。

その前までの死んだような生き方を「ゾンビ」と揶揄されるシーンがありますが、余命宣告されたことで自分ができることをやるというちゃんとした生き方をする、余生を「生きる」という意味合いでのタイトルと思われます。

キャスト

主人公であるウィリアムズを演じたのはイギリスの俳優であるビル・ナイさんです。

1949年に生まれ、雑誌社で雑用係として働いたり、小説を書くためにパリに滞在したりと紆余曲折を経て、ギルフォード演劇学校に入学します。

1975年にデビューし、1981年「針の眼」で映画デビューをします。

その後は様々な映画に出演されており、「オペラ座の怪人」「パイレーツオブカリビアン/デッドマンズ・チェスト」「パイレーツオブカリビアン/ワールドエンド」「ハリーポッターと死の秘宝」「名探偵ピカチュー」などの作品に出演しています。

アカデミー賞主演男優賞ノミネートやゴールデングローブ賞主演男優賞ノミネートなどがあります。

この作品の時は御年72歳で老齢のジェントルマンを表現しています。

個人的感想と見どころ

ここからは盛大にネタバレがあるためまだ見てない人は読まないでください。

癌の宣告の後の行動

癌を告知されたあとほとんど取り乱さなかったウィリアムズ。

しかし、家に帰ると暗い中でただただ何も考えられないような、否認ともとれる状態でした。

しかしそのあとの描写で海辺の町へ赴く姿が描かれています。あの晩すでに残された人生をどう過ごすのか、さらに言えば今までの生き方について満足できずにどうしたいのかを考えていたのかもしれません。

癌の患者、特に末期がんとなると手の施しようがなしとなっている方が多いです。まして時代は1950年代。正確な診断もつかず治療のすべもなかったでしょう。

現代と異なり、発症すればそれすなわち余命宣告という状況。

もっと取り乱し、現実逃避し、怒りにみちてもよさそうですが、ウィリアムズはそうではありませんでした。

何かを変えたいという思いで「人生を楽しみたい」と海辺の町にいきますが、今までそのような経験がないためか楽しみ方がわからないという残念な感じ。

ただ、そういうキャラクターだからこそ物語になりえるのでしょう。

サザーランドとの出会い

海辺の町でであったのがサザーランドという人。レストランの常連のようでした。

睡眠薬が欲しいといっていた彼の話を聞いて声をかけただけでしたが、遊び方のわからないウィリアムズは彼とともに夜の街に繰り出します。

きっとこの人はキーパーソンになるんだろうなと思ったら、出たのはこの時だけでした。

ただ、その後のウィリアムズに多大な影響を与えていました。

クレーンゲームしかり、お酒の飲みかたしかり、

ナナカマドの木

夜遊び中にバーでスコットランドの民謡である「ナナカマドの木」の唄を歌うシーンがあります。

ビル・ナイさんが歌うからとてもきれいに聞こえるのか、元々の唄がきれいなのか。

普段海外の唄なんて聞かないし、まして民謡なんて聞かないのでこんないい歌があるんだなという思いをしました。

他の国々の民謡も(意味が分かれば)きいてみたいなと。

唄の途中で「心に浮かぶ母の面影」とうたった後に急に歌えなくなったウィリアムズ。

単純に酔ったからとは思いませんが、亡き妻のことを思ったのか、母親のことを思ったのかはわかりません。もしかしたら、自分ももうすぐ「もはや会うことができぬ人「懐かしき人々」になってしまうことを思ってなのか…。

ハリスへの依存

海辺の町を後にしたウィリアムズは元部下のハリスに偶然町で遭遇します。

不在中に推薦状が必要だったことをしったウィリアムズはお詫びに昼食を誘います。

この時から急激に距離をつめていきますが、それが周りでは噂になってしまう。若い女ができたと。

ウィリアムズとしては輝いて見えるハリスをお手本に、自分も輝いた日を過ごしたいと思っていただけなのに。

なぜゾンビのように生きるしかばねとして生きてきてしまったのかを後悔したからこそハリスと過ごし改善の糸口を見つけたかったのかもしれません。

ただ、ハリスに癌について打ち明ける描写があり、単なる憧れではなく、恋愛感情がなかったとしても憧れを超えた依存の対象になっていたのではないかと思ってしまいます。

「生きることなく人生を終えたくない」

ハリスと映画後にバーに寄った時の会話で出てきたこの一言。

いった直後に何かを自分で感じたかのような表情を見せ、急にハリスとのひと時を切り上げます。

普通に見れば遅くなったからという捉え方もできますが、前述したように気持ちが依存していたとすると、その瞬間に自分のすべきことが見つかり依存の必要性がなくなり、脱却としての演出のようにも感じました。

その後は自分の生きる意味を見出すかの如く、塩漬けしていた婦人会の人たちの公園の案件に着手していきます。

あれ?突然の葬式??

ここから公園の事業に着手するウィリアムズが見れるのかと思ったら突然の葬儀で困惑しました。

あれ?結局為せなかったのかな?と一瞬頭をよぎりましたが、葬儀後の雑談タイムで遊び場ができていたと突然わかりなお混乱。

ただ、その後の電車のシーンで回想シーンが入ります。確かにこの方が断片的に経過を切っていける上に、遊び場をちゃんと作れたというだけでなく、部下たちの心証も変わりいい上司にもなり得たということが伝わります。

いいやり方だなと。

そしてそれを見ると今までのゾンビが嘘のような働き方でより感動。

電車での誓いは無残にも

「課長は手本を示してくれた」と言っていた彼。

「今日ここで誓いを立てようじゃないか、課長の生き方に学ぼう」といっていた彼。

「我々は二度と責任逃れをしない、仕事を後回しにしない、他に回さない」といっていた彼。

「私は市民課の長として彼の意志を引き継ぐ、結果を出すぞ」と言っていた彼。

そしてその直後の汽車の引きのシーンで白黒の世界からカラーの世界に変わったからいい方向に行くのだろうと思った自分。

そしてその後のセントメアリー校のプレハブ校舎の案件を未決の棚に放り込まれ「支障はない」と言い放つ彼。

おーい!学んだ生き方や引き継いだものはゾンビのほうかい!と突っ込まざるを得ない展開。予想外でした。

ブランコの描写

ウィリアムズは雪の日に、自分が尽力した遊び場で亡くなったということが最後にわかります。

警官と部下の会話と回想でわかることですが、その回想でウィリアムズはナナカマドの木の唄を歌いながらブランコに乗っていました。

おそらくブランコの上でなくなったのかもしれません。

警官はそれを見ていて、あまりにも幸せそうで早く帰るように声をかけられなかったことを悔やんでいました。そして部下は実は末期がんであったことを話します。

その後部下は警官に「彼は幸せだったんだ、多分人生で一番」といって分かれます。

そのあとに①子供が一人でブランコに乗っているシーン、②子供が二人でブランコに乗っているシーン、③誰も乗っていないシーン、と続きます。

ブランコは全部で3つ。

①の時は真ん中に子供が乗り、奥のブランコは揺れていました。

②は奥と真ん中に子供がのり、手前のブランコが揺れていました。

③は奥のブランコだけが揺れていました。

・・・ウィリアムズさん乗ってる??

いつも見守っているということ??

さいごに

今回は日本映画をリメイクしたイギリスの映画「生きる LIVING」を紹介しました。

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