『ショート・ターム』のすすめ

本・映画

今回は2013年のアメリカのドラマ映画をご紹介です。

ティーンエイジャーのためのグループホームを舞台にした作品になっています。

この作品の監督・脚本であるデスティン・ダニエル・クレットンさんは、自身が体験した施設での出来事を基に執筆・製作にあたったとのことです。

是非皆さんも一度視聴してみてください。

あらすじ

主人公・グレイスは問題を抱えるティーンエイジャーのためのグループホーム「ショート・ターム12」で働く女性ケアマネージャー。グループホームでは様々な子供たちが生活をしており、18歳になるとホームを出なくてはいけなかった。もうすぐ18歳になるマーカスもその一人であったが、その母親は彼を虐待していた。そんな中グレイスは新しくホームに来る少女ジェイデンを面倒みることに。自傷癖のある彼女と向き合う中でグレイスも心の奥に秘めていたことを打ち明けるようになっていく。しかし、ホームでは度重なるトラブルが続き・・・。

タイトルの意味

今回のタイトルの「ショート・ターム」は原題では「Short Term12」というタイトルでした。

この名前は作中でもホームの名前として登場します。

つまり、主人公のグレイスが働くティーンエイジャーのためのグループホームから名前を付けています。

ちなみに「Short Term」とは「短期間の」という英語。

元々グループホームが1年間の短い期間預かる施設であるところから施設の名前が決まっていそうです。

キャスト

ここでは施設で働いていたグレイスとネイトの二人をご紹介。

グレイス役:ブリ―・ラーソン

フランス系カナダ人の血とスウェーデン系の血を引いているそう。

主な作品としては、「ルーム」や「キャプテン・マーベル」「アベンジャーズ/エンドゲーム」にも出演しています。

そんな彼女は「ルーム」でアカデミー主演女優賞とゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞しています。

ネイト役:ラミ・マレック

エジプト系アメリカ人。

主な作品としては、「ナイトミュージアム」「トワイライト・サーガ」、「ドクター・ドリトル」、そして「ボヘミアン・ラプソディ」に出演しています。

そんな彼は「ボヘミアン・ラプソディ」でアカデミー賞主演男優賞、ゴールデングローブ賞主演男優賞などを受賞しています。

個人的感想と見どころ

ここからは盛大にネタバレがあるためまだ見てない人は読まないでください。

頭を剃りたい理由

18歳を迎えるマーカスのお別れパーティのリクエストを聞くシーン。

グレイスは食べたいものを聞くために希望を聞いたのに、彼は「頭を剃ってもいいか」と聞きます。

もう一度食べ物であることを説明しても「食べ物なんかいらない」「頭を剃りたい」と。

何故そこまでかたくなに頭を剃りたいのか疑問でしたが、後々その理由がわかります。

彼は母親に虐待を受け、頭を殴られ続けていたよう。その時の傷が今も残っていないか確かめたかったのかもしれません。

傷がないことに安堵したのか彼は泣き崩れてしまいます。

虐待はあんなに強気そうなクールな男の子を不安にさせ大きな心の傷を作ってしまうんだなと思わされます。

ネイトの失言

最初の自己紹介でネイトは最悪な失言をしてしまいます。

それは子供たちに向かって「恵まれない子供たち」と言ってしったのです。

これにはいつも明るくふるまうメイソンも思わず舌打ちをします。

心の中で思ってしまうのは仕方がないこと。でもそれをうっかりでも言葉にしてしまうのは・・・。

そもそもそのように考えてしまう人には向かないのかも?

「ニーナ」の物語

ジェイデンの作った童話にでてくる「ニーナ」は一人ぼっちのタコの女の子。

そこにお腹を空かせたサメがきて、友達になるためにニーナの足を食べさせてくれと要求をしてくるという話。

また一本、そしてもう一本。ついには残り2本となったときにサメは「全部欲しい」といいニーナを食べつくしてしまうというもの。

お金の切れ目が縁の切れ目的なお話かと思っていましたが、グレースはジェイデンが父親から虐待を受けていると気づきます。

そういう観点でもう一度聞くと、一人ぼっちのジェイデンが父親と仲良く過ごすために手足を傷つけられていると解釈することも確かにできるか。

所長に対する怒りの演技

主人公役のブリ―・ラーソンさんの演技には圧巻でした。

子供たちに細かく配慮しながら働く職員という立場では優しく包み込むような演技が多い一方で所長やジェイデンの父親に対しての怒りの演技。

この怒りの原因はグレイス自体も子供時代に父親に虐待を受けていたという設定でのものですが、本当に人がかわったかのような演技がすごい。

さらにはメイソンとのことで悩む姿や、マーカスの自傷行為での鬼気迫る切迫感を演出したりと役者さんってすごいなと思わされます。本当にそれを体験した人のよう。

ラストの話

こういった映画で最後をどうしめくくるのかなと思っていました。

主要キャラは自殺未遂をしたり虐待を告発したりといいニュースではありません。

しいて言えばメイソンとグレースとの子供の話は明るいですがそこで終わるのもと思っていました。

しかし、最後は(本当の最後は冒頭の脱走少年の再犯ですが)、メイソンの話で終わります。その内容が自殺未遂をして搬送されたマーカスの話。

確かにたすかったかどうかもわからない状態でしたが、そこでマーカスが生きていること、水族館で働いていること、しかもホームにいたときに口説いたライザという女性と一緒にカフェで幸せそうにしていたという話で終わります。

あんなに悲観していそうなマーカスがちゃんと生活できているだけでなく彼女も作っていそうなことが描かれていてほんわかした気持ちで終われました。

さいごに

今回は「ショート・ターム」という映画のおすすめを書かせていただきました。

何を見ようか迷ったときには少しでも候補にあがってくれればうれしいです。

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