今回は蒸留酒つながりでテキーラについてまとめてみました。
製造過程
今回使用する原材料が今までのお酒の原材料と異なりすぐに収穫できないもののため、まずは栽培からとさせていただきました。
栽培
テキーラの原材料となる植物は右の写真にある「アガベ」というものになります。
アガベは成長するのに長い時間がかかり、平均で6~7年ほどの栽培期間がかかります。
アガベの親株近くに子株が生まれてくるため、それを掘り起こして別に埋めて育てていきます。
収穫
十分に育ったものは専門の職人(ヒマドール)によって収穫が行われますが、生育状況やカット方法により味わいに変化が生まれます。
味わいの変化としては2つ。
1つは生育期間で、長くなればなるほど甘みがつよくなります。
もう1つは葉を落とす場所で、表皮の残りが少なければ少ないほど辛味を抑えられます。
カットした状態を「ピニャ」と呼びます。
糖化
ピニャを蒸気で加熱することにより、糖分を多糖類から単糖類に変化させていきます。
加熱は大きくわけて2種類あり、石やレンガ造りの窯(マンポステリア)で40時間ほど加熱する方法と、圧力釜(アウトクラベ)で6時間ほど加熱する方法があります。
前者は甘いアガベの香りが、後者は青っぽい香りになるそうです。
圧搾
糖化したピニャを圧搾して液体を取り出します。
石臼(タオナ)ですりつぶす方法とローラーでつぶす方法とがあります。
石臼の場合糖分の5割程度しか搾り取れませんが、繊維をつぶしすぎないため雑味が混ざりにくいというメリットがあります。
一方、温水を流しながらローラーで潰す方法はローラーミルという手法で、糖分の9割を搾り取れますが、繊維をつぶしすぎるため雑味が出すぎてしまうというデメリットがあります。
発酵
搾り取ったものを発酵させアルコール化していきます。
発行の際に使うタンクは金属製のものや木桶だけでなく、数は少ないですがセメント製のものを使うところもあります。
また、圧搾した青tの繊維をタンク内の上に敷き詰めて発酵することで繊維に残った糖分を利用します。ただ、ローラーミルで圧搾した場合は糖分はあまり残っていないため、温度変化を抑えるための保温材の目的で使われるようです。
蒸留
銅やステンレス製の蒸留器を使い蒸留していきます。
単式蒸留を二回行うことがほぼですが、中には連式蒸留を用いたり、単式蒸留の回数を増やすこともあります。
こうして蒸留したものも最初と最後に出てくるものを廃棄します。
理由はメチルアルコールを多く含むことや、不純物が多くなってしまい風味を損なうためです。
残りの液体はフィルターを通します。紙のフィルターや冷却フィルターを用いて2~4回ほど濾します。
回数が多くなればなるほどスッキリとしたものになりますが、風味が減ってしまいます。また、冷却フィルターのほうが香りが落ちるといわれますが、冷却フィルターをかけないとその後の温度変化により沈殿物がでることがあります。
熟成
オーク樽により行われます。
一般的にはアメリカンオークの新樽やバーボンの中古樽がおおいですが、他にも種類は多く使われます。
新樽・中古樽にかかわらず内部に火入れ(チャー)がおこなわれ、風味や色合いに変化がでます。
添加物の付加
香料や糖分など法令で定められたものは添加することが可能です。
テキーラの定義
テキーラはどこでも作れるわけではありません。きちんと下記の定義がされています。
- 主原料は阿アガベでなくてはならず、主原料が総原料に占める割合が51%以上でなくてはならない。
- アガベはメキシコのハリスコ州、グアナフアト州、ナヤリ州、ミチョアカン州、タマウリパス州で生育されたものでなくてはならない。
- 蒸留はテキーラ町やその周辺地域でなくてはならない。
- 最低2回の蒸留がされなくてはならない。
- メタノールの値が3mg/ml以下でなくてはならない。
- アルコール度数が35%~55%でなくてはならない。
- 水以外の添加物は1%以下でなくてはならない。
- NOMナンバーと呼ばれる4桁の蒸留所番号をラベルに表記しなくてはならない。
以上が定義となります。
分類
分類は主に原料によるものや熟成期間で分けられている。
原料による分類
テキーラ100%アガベ
副原料を用いないもの。ラベルに刻印がされている。「プレミアムテキーラ」と呼ばれることも。
テキーラ
副原料も一緒に発酵させたもの。「ミクスト」や「スタンダード」と呼ばれることもあるが正確な呼称は「テキーラ」となる。
熟成期間による分類
ブランコ(シルバー)
熟成期間は2か月未満のものになる。
テキーラの風味や特徴がはっきりと表れる。
ゴールド
ブランコと熟成をさせたものをミックスさせたもの。
レポサド
2か月以上1年未満の間樽で寝かせたもの。
アニエホ
600L以下のオーク樽で1~3年寝かせたもの。
ウイスキーと似た風味になる。
エクストラ・アニエホ
3年以上寝かせたもの。価格は高い。
専用のチェイサーがある
お酒を飲むとき、特に度数の強いものを飲むときにチェイサーとして水が提供されます。
一般的にチェイサーは水が多いですが、ジュース類などもチェイサーとなります。
その中で、テキーラにはそれ専用のチェイサーとして「サングリータ」というものがあります。
ベースはトマトジュースとオレンジジュースを1:1で割ったものになります。
お好みでそこにライムを絞り入れ、塩コショウをし、タバスコを加えたものになります。中にはすりおろした玉ねぎやニンニク、ウスターソースを入れることもあり、「飲むサルサソース」と揶揄されることも。
さいごに
今回はテキーラについてまとめてみました。次は何のお酒になるか・・・
誰か一人にでもお役に立てれば幸いです。
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