今回はDisney+で配信をされている『マネーショート』についてのおすすめとなります。
実在にあったお話をベースとして描かれている作品となっています。
正直難しい金融用語も出てきますが、途中で解説が何回か入りたとえ話でわかりやすく説明してくれようとしています。
また、「信じる力」が大切だなと思わされる作品でもあるため、ぜひ皆さんも見ていただければと思います。
あらすじ
2005年、資産運用会社を経営するトレーダーのマイケルはアメリカの住宅価格が急上昇していることに違和感を覚えた。調べていくと返済の見込みの少なり住宅ローンを含む金融商品(サブプライム・ローン)が数年以内に債務不履行に陥る可能性があることに気づく。ウォール街の銀行家などは安定した住宅金融の債券が崩壊する話など信じられず相手にされなかった。マイケルは金融会社にCDO(債務担保証券)を空売りし価値が暴落したら儲けが出るような商品としてCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)を作って売ってもらうように提案します。
暴落するはずのない安定した業界では不要なCDS。銀行は喜んでそれを作りますが、その中でウォール街のドイツ銀行に勤めるジャレットはマイケルの戦略を察知し、投資会社のマークに同じくCDSを購入することを勧めます。また、住宅業界のバブルがはじけるという情報を入手した若手投資家のチャーリーとジェイミーは隣人の元トレーダーのベンに協力を仰ぎ同様にCDSで大金を稼ごうと野心を燃やしますが・・・。
タイトルの意味
「マネーショート」は邦題で、原題は「The Big Short」と言います。
「ショート」とは金融業界的には「空売り」を意味する言葉だそうです。
原題でいうと「大きな空売り」映画の内容も加味すれば「巨額の空売り」という意味になります。
キャスト
今回の主要キャラとして次の4名をあげさせていただきます。
マイケル・バーリ役:クリスチャン・ベール
イギリスのウェールズで生まれるが、両親はイングランド人であり本人も「ウェールズ人ではなくイングランド人だ」と言及しているとか。
13歳の時にスティーヴン・スピルバーグ監督の「太陽の帝国」で主人公役で映画デビュー。その後も様々な映画に出演。
過去にアカデミー助演男優賞に2回ノミネートされうち1回受賞、主演男優賞にも1度ノミネートされています。ゴールデングローブ賞の主演男優賞は4度ノミネートされうち1度受賞、助演男優賞では1度受賞している演技派です。
出演作には「ザ・ファイター」「アメリカン・ハッスル」「バイス」「フォードvsフェラーリ」「ダークナイト」「ターミネーター4」などがあります。
ベン・リカート役:ブラット・ピット
俳優兼映画プロデューサー。
イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド、北アイルランド、ドイツの血を引いているとか。
アカデミー賞主演男優賞に2回ノミネート、助演男優賞に2回ノミネートされうち1回受賞。ゴールデングローブ賞主演男優賞に3回ノミネート、助演男優賞に3回ノミネートされうち2回受賞している演技派。
出演作には「ベンジャミンバトン 数奇な人生」「マネーボール」「ワンス・アポン・タイム・イン・ハリウッド」「バベル」「オーシャンズ12/13」などがあります。
ジャレド・ベネット役:ライアン・ゴズリング
過去に「ラ・ラ・ランド」「きみに読む物語」でもご紹介させていただいたので割愛をしますが、よければ下の記事から確認してみてください。
マーク・バウム役:スティーヴ・カレル
マサチューセッツ州生まれで、イタリア、ドイツ、ポーランドの血を引く。
彼の名前が広く知られるきっかけになったのは、俳優業ではなくコメディ・ニュース番組「ザ・デイリー・ショー」のレギュラー出演だったそうです。
過去にアカデミー賞主演男優賞に1度ノミネートされ、ゴールデングローブ賞の主演男優賞も1度ノミネートされています。
出演作には「フォックスキャッチャー」「バイス」などがあり、声の出演として、ミニオンシリーズの怪盗グルーの声をされています。
個人的感想と見どころ
ここからは盛大にネタバレがあるためまだ見てない人は読まないでください。
経済用語はやはり多い
金融業界の映画なのでやはり経済的用語は多くなっています。
例えばサブプライム・ローンやMBS、CDO、CDSといった用語などが登場してきます。
ある程度の金融の知識があった方が見ていて楽に楽しめるかもしれませんが、自分もそこまで詳しいわけではありません。それでもなんとか楽しむことができたのは最低限の説明が作中で挿入されていたからかも?
挿入された解説
この作品では3回ほど途中で用語解説入りました。
その解説には本人役として、マーゴット・ロビー、セレーナ・ゴメス、リチャード・セイラー、アンソニー・ボーディンの4名が登場します。
たとえ話を用いて話されていたりしてこれが意外とわかりやすく、理解することができました。
ただ、マーゴットさんが入浴シーンである必要があったかは謎ですが(笑)
アンソニーさんはシェフですが、CDOについて料理を用いたたとえ話でイメージしやすく解説をしてくれます。
合成CDOに関してはセレーナ・ゴメスとリチャード・セイラー(経済学者)がカジノの賭けを絡めて解説をしていました。
それ以外にもナレーションとしてジャレド役のライアンが解説をしたり説明をしてくれたりしています。
主人公は4人(6人)であり0人
パッケージをみると、マイケル、マーク、ジャレド、ベンを演じた四名が写っています。この4人、もしくはそこに若手投資家の二人を入れて6人が主人公かというと必ずしもそうではありません。
今回の映画は3組(マイケル、ジャレドとマーク、ベンと若手投資家二人)がそれぞれに住宅ローン業界の問題に気付き、CDSをそれぞれが買い漁って最終的に利益を得るというものになります。
それぞれが独立した動きをしており、交わることなく話が進んでいきます。
一組ずつにドラマがあるけどそれは並列したものであり、ある意味4人ないし6人が主人公と捉えることもできる。
一方で、不動産債券の金融市場を軸とした栄枯盛衰の話がメインで6人はその成功者として脇役的に存在していると考えてもいいのかもしれない。
今の「正しい」が明日も「正しい」とは限らない
過去から現在までずっと続く物事は「正しい」物事とは限らないし、これから続く物事とも限らないことをこの映画は描き出していると考える。
冒頭でマイケルは住宅価格が高騰しており「バブル」の状態であることをいち早く見抜きます。
しかし、周りの人はそのようなことは「非現実的」として誰もその話を真摯に受けずにいてしまいます。
これは「今まで平気だったのだから、これからも平気であるという思い込み・先入観があったためです。
今回の映画の教訓の一つは間違いなくこの「思い込み」による失敗でしょう。
自分たちも今の状態が果たして本当に今後も続いていくのか、見つめなおすいいきっかけになる映画に思えます。
ベンはなぜ協力したのか。
この映画で、疑問のうちの一つにベンがなぜ協力をしたのかというのが出てくると思います。
元々銀行勤めで、ウォール街に嫌気がさして引退したにも関わらず、若手投資家コンビのチャーリーとジェイミーに協力をします。
そのきっかけはジェイミーが犬の散歩をしている時に隣人の愛犬家であるベンと知り合いになったからというもの。
ただの隣人というだけなのに、嫌になった業界に一時とはいえ戻って二人の手助けをするのは苦痛だったはずなのに。
最後にジェイミーが「なんで手伝ってくれたのか」と聞いたときも「リッチになりたかったんだろ?なったぞ」とだけしか返答をしていません。
賭けには勝ったが
4人ないし6人のメインキャラたちは最後には大金を手にすることになります。
しかし、それは誰かの不幸の上になりたったお金。
アメリカ、いや世界経済が崩壊することにかけた配当金であり、喜ばしいようで嬉しくない結末となってしまいました。
作中でベンは嬉しさで踊り狂う若き投資家たちに踊ることをやめるように言います。そして「読みが正しければ、人々が家を失うんだぞ。仕事も失う、老後の貯えを失い、年金も失う。金融業界は人を数字としか見ていない。だが、失業率が1%上がれば4万人が死ぬんだ。知ってたか!」と怒ります。
確かにどれだけの人が職を失ったでしょう。日本でもその影響はあり、派遣切りや雇止めがあり年末年始に「年越し派遣村」ができたのを覚えている方もいるでしょう。
さいごに
今回は『マネーショート』のおすすめを書かせていただきました。
ぜひ皆さんにも一度見ていただきたいなと思います。
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