今回はAmazon Prime Videoで視聴可能な『言の葉の庭』についてご紹介を会させていただきます。
雨の日にだけ会う特別な二人の関係を描くこの作品。新海誠監督の初めての「恋」の物語になります。正確には「孤悲」の物語。
46分という短い映画であり見やすさもありお勧めです。
興味がある方は下のリンクから飛んでみてみてください。
また、基本的にはネタバレをしないようにしていますが、感想の部分にはネタバレがふんだんにあるため見たくない方はそこでそっと画面を閉じるか、上のリンクから『言の葉の庭』を検索してみてください。
あらすじ
靴職人を目指す高校一年のタカオは雨の日の午前中だけ授業をさぼって新宿御苑の庭園のベンチで靴のデザインを考えるのが日課になっていた。梅雨入り前の雨の日にいつものベンチへ向かうと、一人の女性・ユキノがいた。ユキノはビールとつまみにチョコレートを食べていた。タカオはその女性とどこかで会ったことがあるような気がしたが思い出せずにいた。その女性もまた、当初は会っていないと思っていたが、タカオをよくみて「会っているかも」といい一首の和歌を詠んで立ち去ってしまう。梅雨入りし、2人は頻回に庭園で出会うようになりタカオは靴職人になる夢を語る。ユキノは普段弁当を頂いていたお礼にと「靴づくりの本」をプレゼントし、それがきっかけでユキノに靴を作ることに決め、足の採寸をする。しかし、梅雨があけてしまいタカオは庭園に行く理由が無くなってしまい二人は会うことが無くなってしまい・・・。
タイトルの意味
今回の『言の葉の庭』の「言の葉」は和歌を指す言葉になります。
これは古今和歌集の仮名序の「やまとうたは ひとのこころを たねとして よろずの言の葉 とぞなりにける」(「和歌というものは、ひとの心を種にして、葉っぱが生い茂るように たくさんの言葉となったものだ」)にて使われたことで「言の葉」が「和歌」を指す言葉になったようです。
今回の作品では和歌は2首でてきます。
庭は新宿御苑の庭園を指すと思われます。
ではなぜ「言の葉の庭」なのか。それはその和歌の内容にリンクしています。
和歌の内容は後述しますが、「ここにとどまってほしい」という意味の和歌の「ここ」が今回は新宿御苑の庭園を指すため「言の葉の庭」としたのかな。
監督は
前述の通り新海誠が監督を務めているこの作品。新海作品としては5作目の劇場用アニメーション映画となりました。
今回の作品が初めての「恋」を題材としたものとなりました。
新海監督はこの作品のキャッチコピーを「愛よりも昔、孤悲のものがたり」としています。「孤悲」の意味は下に書いておきます。
ちなみに月間アフタヌーンにて2013ね6月号から12月号まで漫画版が連載されていたようです。
個人的感想と見どころ
ここからは盛大にネタバレがあるためまだ読んでない人は注意してください。
映像の美しさ
この作品は基本的に雨のシーンが多い作品ですが、さすがというか、映像の美しさがすごいです。
なんなら、雨の中で陽が差し込んでくる映像などもきれいでありとても感心をしてしまいました。
ちなみに冒頭のは普通の動画かと思いましたが、あれも一応絵なんですよね??じゃないとあんなにきれいに波紋でないだろうし。
二人の関係
この作品は主人公のタカオがヒロインのユキノに恋をしていくというものになりますが、最初の出会いは少しかわっています。
タカオは雨だから午前さぼり、ユキノはこの時チョコをつまみにビールを飲んでいるという状態。
タカオはどこかでユキノに会った気がしていましたが、それが思い出せんましでした。ユキノも最初はわからず、制服をちゃんと見たときに「会っているかも」と言い始めます。それはユキノがタカオの学校の教師だったからということがあとあとわかってきます。
タカオは徐々にユキノに惹かれていく様子が描かれますが、それはユキノも同じの様。ただ、ユキノの場合は恋愛というよりも当初はリハビリという感覚が大きかったのかもしれません。自分の学校の生徒と話をすることで心のリハビリになっていたのでしょう。
終盤でタカオがユキノの家で告白をしたシーンは「言ったー」と思わずテンションがあがりますが、頬を赤らめたユキノは「ユキノさんじゃなく先生でしょ」と突き放します。やはり元とはいえ、先生と生徒という関係だからかと思いましたが、翌週に四国の実家に帰ることを告げたのを見てそういうことかと。
もし、四国に戻らなければ二人の関係はどうなっていたのでしょう。明確に「あの場所でわたし、あなたに救われてたの」とユキノはいっておりそのまま付き合うエンドがあったかもしれないですね。
和歌の意味 孤悲の意味
最初の和歌は
「雷神(なるかみ)の少し響(とよ)みて さし曇り 雨も降らぬか 君を留めむ」
というものでした。意味としては
「雷が鳴り響いて雨も降ってくれないかな。そうしたら、あなたをこの場にとどめておけるのに」
というものです。
そして、中盤でもう1首、今度はタカオから
「雷神(なるかみ)の 少し響(とよ)みて 降らずとも 我は留らぬ 妹し留めば」
と返歌がありました。これは
「雷が鳴り響いたり雨が降らなかったとしても、あなたがとどめてくれるなら私はとどまります」
という意味になります。
実際に万葉集にある2首で、対になるこの歌は問答歌と呼ばれ、さらにその中で男女間の恋に関するものを「相聞歌」と呼んでいます。
また、冒頭で触れたキャッチコピーに出てくる「孤悲」は万葉集の時代の言葉で「恋」と同義として書かれていたようです。現代とは違い、気軽に外で会うということができなかったため孤独に悲しみながら恋心を詠むことが多く、この字があてられていたようです。
だからキャッチコピーも「孤悲」にしたのかな。
ユキノの相談相手
作中でユキノが電話で相談をしている相手の名前は「伊藤先生」とでていました。最初ユキノの職業が明かされていなかったのでなぜ「先生」とついていたのか謎でしたが、ユキノ自体が先生というなら納得。
ただ、その前の「別れた後まで面倒かけてごめんね」というセリフから二人は付き合っていたのかと思われるものの、直後の伊藤先生がベランダで煙草を吸っているシーンが問題に。部屋に誰かいて、食器を片付けている音が。既婚者??あー・・・なるほど、職場恋愛(不倫?)かな?
ちなみにタカオが職員室に呼び出されたときも伊藤先生と思われます。
非常階段で移動!?
さて、最後の良いシーンであるこの非常階段のシーン。
皆が思うであろう疑問、「なんで非常階段に?」結構高そうなマンション。普通に考えればエレベーターがあるはずだし、エレベーター使うのではと思いましたが、見返すとマンションの最初のシーンでエレベーター前に「点検中」の看板が。
それなら納得!でも逆にこの高層マンションにエレベーター1基しかないのという疑問がね。いったい何階を階段で昇っていったんだ。追いつくまでにも数階分おりていて、2人が合流したところもそれなりの高さがありましたが・・・。
二人抱き合うシーンを印象付けたかったとはいえ。個人的にはまたあの東屋でそのシーンを描いてほしかったな。
さいごに
今回は『言の葉の庭』のおすすめ記事を書かせていただきました。
ぜひ皆さんにも一度みてもらいたいなと思います。
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