FPの勉強 社会保険

勉強

今回は社会保険についてまとめていきます。

社会保険の種類

保険には公的保険である社会保険と、私的保険である民間保険があります。

広義の意味での社会保険には狭義の意味での社会保険労働保険があります。

狭義の社会保険には「医療保険」「介護保険」「年金保険」が、労働保険には「労災保険」「雇用保険」があります。

公的医療保険

公的な医療保険にはさらに「健康保険」「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」があります。

保険制度には「保険者」「被保険者」「被扶養者」がありますが、

保険者は保険制度の運用主体をさします。

被保険者は保険の対象となる人をさします。

被扶養者は年収130万円未満かつ被保険者の年収の2分の1未満である被保険者の扶養家族をさします。

健康保険

被保険者とその被扶養者に対して労災保険の給付対象外の病気やケガ、死亡、出産について保険給付を行う制度。

全国健康保険協会が保険者となり、全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)組合管掌健康保険(組合健保)があります。

協会けんぽは主に中小企業の会社員で、組合健保では主に大企業の会社員が多い傾向です。

保険料に関しては被保険者の標準報酬月額と標準賞与額に保険料率をかけて計算し、それを会社と被保険者で半分ずつ負担します(労使折半)。

被保険者が退職した場合、資格はなくなりますが、一定の要件を満たすと、退職後年間は退職前の健康保険に加入することができます。しかし、この場合は全額自己負担となる。

要件は、①健康保険に継続して2か月以上加入、②退職日の翌日から20日以内に申請する、の2つです。

健康保険の給付内容としては次の6つがあります。

療養の給付、家族療養費

業務外の病気やけがについて、医療行為を受けることができます。

医療機関の窓口で一定の自己負担があります。

0~6歳までが2割、小学校入学後~70歳までが3割、それ以上の場合は1割(一般所得者は2割、現役並みの所得者は3割)。

高額療養費

月の医療費の自己負担額が一定額を超える場合に、その超過額については請求をすることで返金を受けることができます。

例えば標準報酬月額が28万円~50万円の場合、

80,100+(総医療費-267,000)×1%=自己負担限度額

となります。

出産育児一時金、家族出産育児一時金

被保険者または被扶養者が出産した場合、1児につき50万円が支給されます。

ただし、産科医療補償制度に加入している病院にて出産した場合になります。

出産手当金

被保険者が出産の為に仕事を休み、給与が支払われない場合、出産前42日間、出産後56日のうちで、仕事を休んだ日数分の金額が支給されます。

1日あたりの支給額=「支給開始日以前12か月間の隔月の標準報酬月額を平均した額」÷30日×2/3

傷病手当金

被保険者が病気やケガで3日以上続けて休み、給料が支給されない場合、4日目から1年6カ月の間支給される。

1日当たりの支給額=「支給開始日以前12か月間の隔月の標準報酬月額を平均した額」÷30日×2/3

埋葬料、家族埋葬料

被保険者が死亡したとき、葬儀をした家族に5万円が支給されます。

被扶養者が死亡したときは被保険者に5万円が支給されます。

国民健康保険

健康保険や共済組合などの適用を受けない自営業者や未就業者など、市区町村に住所があるすべての人を対象としています。

保険者は都道府県と市区町村が共同でなるものと、国民健康保険組合がなるものがあります。

保険料は市区町村により異なり、前年の所得などにより計算されます。

給付の内容は基本健康保険と同じですが、出産手当金や傷病手当金はつきません

退職した人が14日以内に市区町村に申請することで加入することができます。

後期高齢者医療制度

75歳以上の人や、65歳以上74歳未満の障害認定を受けた人が対象となります。

健康保険や国民健康保険の被保険者は75歳に到達すると後期高齢者医療制度の非保険者に代わります。

自己負担額は医療費の1割ですが、現役並み所得者は3割、一定以上所得のある人は2割になります。

保険料は年額18万円以上の年金を受け取っている場合、原則として年金から天引き徴収されます。

保険料の徴収は市区町村が行います。

公的介護保険

保険者は市区町村で、被保険者は40歳以上の人で、65歳以上の人を第1号被保険者、40歳以上65歳未満の方を第2号被保険者といいます。

1号の場合、保険料は市区町村が所得に応じて決定し年額18万円以上の年金を受け取っている人は年金から天引き納付となります。受給資格は「要介護者」「要支援者」の方。

2号の場合、保険料は健康保険の場合協会けんぽの介護保険料率は1.6%、国民健康保険の場合は前年の所得に応じて決定します。受給資格は老化・特定疾患に起因する要介護者・要支援者のみになります。(交通事故によるものは受け取れません。)

自己負担はいづれも原則1割ですが、支給限度額を超えると超過分は全額自己負担になります。

ただし、第1号保険者で一定以上の所得があれば2割、特に所得が高いと3割の自己負担になります。

ケアプランの作成費は全額無料です。

労働者災害補償保険

業務上や通勤途上における労働者の病気、けが、障害、死亡等に対して給付がされる制度です。

※寄り道をした場合は通勤途上とは認められませんが、日常生活を送るのに必要な場合(買い物など)は認められます。

労災には次の3つがあります。

業務災害    :業務上における病気、けが、障害、死亡等。

複数業務要因災害:2以上の会社の業務を要因とする病気、けが、障害、死亡等。

通勤災害    :通勤途上における病気、けが、障害、死亡等。

労災保険の概要

対象者 :すべての労働者

(アルバイトやパートタイマーなども含みますが経営者(社長や役員)は含まれません)

保険料 :全額事業主が負担。保険料率は事業内容ごとに決められている。

給付内容:休業補償給付は労働者が病気などで休業した場合、4日目から給付基礎日額の60%相当額が支給される。傷病補償年金は労働者が業務上のケガや病気により療養し1年6カ月経過しても傷病が治っておらず、傷病等級1級から3級に該当する場合に支給される。

社長や役員、自営業者は労働者でないため労災保険の対象となりません。しかし、一定の場合には任意加入できる制度があり、これを特別加入制度という。

雇用保険

労働者が失業した場合などに必要な給付を行ったり、再就職を援助する制度。

雇用保険の概要

対象者 :すべての労働者。ただし経営者である社長や役員、個人事業主・家族は加入できない。

保険料 :事業主と労働者で負担をするが折半ではなく、保険料率と負担割合は業種で決まる。

給付内容:「基本手当」「就職促進給付」「雇用継続給付」「育児休業給付」「教育訓練給付」。

基本手当

失業者に対する給付で、一般的に失業保険と呼ばれる。

離職前6カ月の賃金日額の45~80%が支給されます。

給付日数は、自己都合や定年退職の場合は90~150日、倒産や会社都合の場合90~330日。

受給要件は離職前の2年間に被保険者期間が通算12カ月以上あること。ただし、倒産や解雇の場合は離職前1年で通算6カ月以上であればよい。

居住地のハローワークに離職票を提出し、求職の申し込みをします。申し込みを行った日から7日間は支給されません。これを待機期間と言います。

自己都合による場合はさらに原則2か月間は支給されない給付制限があります。

就職促進給付

再就職の促進と支援を目的とした給付。一定要件を満たした受給者が再就職した場合「再就職手当」、アルバイト等に就業した場合「就業手当」を支給されます。

雇用継続給付

高齢者や介護をしている人に対して必要な給付を行い、雇用の継続を促すための制度。

雇用継続給付には高年齢雇用継続給付介護休業給付があります。

高年齢雇用継続給付

被保険者期間が5年以上の60歳以上65歳未満の被保険者で、60歳到達時の賃金月額に比べ75%未満の賃金月額で働いている人に対して、最大15%相当額が支給される。

介護休業給付

家族を介護するために休業した期間について、支給対象となる家族に93日を限度に3回まで、休業前の賃金の67%相当額が支給される。

育児休業給付

育児と仕事の両立の支援目的に育児休業給付金出生時育児休業給付金(産後パパ育休)があります。

育児休業給付金

満1歳未満の子(一定要件で1歳6カ月または2歳未満の子)を養育するため育児休業を取得した場合、休業開始前賃金の67%相当額が支給される。ただし6カ月を経過すると50%になる。

出生時育児休業給付金(産後パパ育休)

子の出征日から8週間経過日の翌日までの期間で、4週間以内の期間を定めて子を養育するため出生時育児休業を取得した場合、休業開始前賃金の67%が支給される。

教育訓練給付

労働者が自分で費用を負担して、厚生労働大臣が指定する講座を受講し修了した場合に、費用の一部が支給される制度。「一般教育訓練給付金」「特定一般教育訓練給付金」「専門実践教育訓練給付金」がある。

一般教育訓練給付金

雇用保険の被保険者期間が3年以上(初めての受給の場合は1年以上)で、厚生労働大臣指定の一般教育訓練を受講し修了した場合、受講料等の20%相当額が支給されます。上限は年間10万円。

特定一般教育訓練給付金

雇用保険の被保険者期間が3年以上(初めての受給の場合は1年以上)で、厚生労働大臣指定の特定一般教育訓練を受講し修了した場合、受講料等の40%相当額が支給されます。上限は年間20万円。

専門実践教育訓練給付金

雇用保険の被保険者期間が3年以上(初めての受給の場合は2年以上)で、厚生労働大臣指定の専門実践教育訓練を受講し修了した場合、受講料等の50%相当額が支給されます。上限は年間40万円で支援機関は最長3年となる。資格取得の上で就職につながった場合さらに20%が加算される(上限は年間16万円)。

さいごに

今回は社会保険についてまとめました。

年金保険については次回記載をします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました