利尿薬・β遮断薬はどんな薬?|高血圧で使われる2つの薬の特徴と使い分けを解説

高血圧の治療では、血圧を下げるためにさまざまな種類の薬が使われます。

前回の記事では、ARB・ACE阻害薬・Ca拮抗薬について、それぞれの作用や特徴を解説しました。

今回は、高血圧の治療で使われるもう2つの薬、利尿薬とβ遮断薬について見ていきます。

どちらも血圧を下げる薬ですが、作用する場所や仕組みは大きく異なります。また、β遮断薬は心臓の病気などを合併している場合に重要な役割を持つ薬でもあります。

利尿薬とはどんな薬?

利尿薬は、その名前の通り尿を出しやすくする薬です。

高血圧では、腎臓からナトリウムや水分を排泄する作用を利用して血圧を下げます。

利尿薬はどうやって血圧を下げる?

食事などから摂取したナトリウムは、腎臓で濾過されたあと、体内に再吸収されます。

利尿薬はこのナトリウムの再吸収を抑えることで、ナトリウムと一緒に水分が尿として排泄されやすくします。

すると、体内の水分量や血液量が減り、血圧が下がります。

ただし、利尿薬による降圧効果は、単純に「尿をたくさん出して血液量を減らす」というだけではありません。長期的には血管の抵抗にも影響し、血圧を下げる働きがあります。

高血圧ではどんな利尿薬を使う?

利尿薬にはいくつかの種類がありますが、高血圧の治療では少量のサイアザイド系利尿薬やサイアザイド類似薬が使われます。

高血圧では、心不全などで大量の水分を抜くことを目的とする場合とは異なり、比較的少量を使用して血圧をコントロールします。

また、利尿薬はほかの降圧薬と組み合わせて使われることもあります。

利尿薬の特徴

利尿薬は、古くから高血圧の治療に使われてきた薬です。

少量でも降圧効果が期待でき、ほかの降圧薬と組み合わせることで血圧をコントロールしやすくなることがあります。

一方で、ナトリウムやカリウムなどの電解質に影響することがあるため、使用中は血液検査などで状態を確認する必要があります。

利尿薬の副作用・注意点

利尿薬では、低ナトリウム血症や低カリウム血症などの電解質異常に注意が必要です。

また、尿酸値が上昇し、痛風のある人では注意が必要になることがあります。

そのほか、利尿作用によって脱水や血圧低下が起こることもあります。

特に高齢者や、ほかの薬を使用している場合などでは、腎機能や電解質などを確認しながら使用することがあります。

利尿薬はどんなときに使われる?

利尿薬は高血圧の治療で使用されるほか、心不全などで体内に余分な水分がたまっている場合にも重要な薬です。

高血圧では、単独で使用する場合だけでなく、ほかの降圧薬と組み合わせて使う薬としても活用されています。

β遮断薬とはどんな薬?

β遮断薬は、心臓などにあるβ受容体という部分の働きを抑える薬です。

高血圧の治療にも使われますが、心臓の病気や不整脈など、循環器領域で重要な役割を持っています。

β遮断薬はどうやって血圧を下げる?

交感神経が活発になると、心臓はより速く、強く動くようになります。

β遮断薬は、主に心臓にあるβ1受容体の働きを抑えることで、心拍数や心臓の収縮力を抑えます。

その結果、心臓から送り出される血液量が減り、血圧が下がります。

また、腎臓から分泌されるレニンを抑えることで、血圧を上げるRAASの働きを抑える作用もあります。

β遮断薬の特徴

β遮断薬は、単純に「血圧を下げる薬」として考えるよりも、心臓や循環器の状態に合わせて使う薬と考えると分かりやすいでしょう。

たとえば、心不全や狭心症、頻脈性不整脈などを合併している場合には、血圧以外の目的も含めてβ遮断薬が重要になることがあります。

また、β遮断薬にもさまざまな種類があり、β1受容体への選択性など、それぞれ特徴が異なります。

β遮断薬の副作用・注意点

β遮断薬では、心拍数が遅くなる徐脈や、血圧が下がりすぎることに注意が必要です。

そのほか、倦怠感や手足の冷えなどがみられることがあります。

種類によっては気管支を収縮させる作用があるため、喘息などの呼吸器疾患がある場合には注意が必要です。

また、糖尿病の患者さんでは、低血糖時に現れる動悸などの症状を分かりにくくすることがあります。

β遮断薬はどんなときに使われる?

β遮断薬は高血圧にも使用されますが、特に重要なのが心臓の病気などを合併している場合です。

心不全、狭心症、頻脈性不整脈、心筋梗塞後などでは、心臓を保護したり心拍数をコントロールしたりする目的で使用されることがあります。

そのため、β遮断薬は「血圧が高いから使う」というだけではなく、その人の心臓や循環器の状態を考えて選択する薬という側面があります。

利尿薬とβ遮断薬は何が違う?

利尿薬とβ遮断薬は、どちらも血圧を下げる薬ですが、作用する場所も仕組みも大きく異なります。

利尿薬β遮断薬
主な作用ナトリウム・水分の排泄を増やすβ受容体の働きを抑える
血圧を下げる仕組み体液量を減らすなど心拍・心臓から送り出す血液量を抑えるなど
主な注意点電解質、尿酸、脱水など徐脈、血圧低下、気管支など
特に考慮される場面高血圧、体液貯留など心不全、狭心症、頻脈性不整脈など

このように、同じ「血圧を下げる薬」でも、体に働きかける場所はまったく違います。

利尿薬とβ遮断薬はどう使い分ける?

実際の薬の選択では、単純に「どちらのほうが血圧を下げるか」だけで決めるわけではありません。

利尿薬では、血圧の状態に加えて、腎機能、ナトリウムやカリウム、尿酸値などを考慮します。

一方、β遮断薬では、心拍数や心臓の病気、不整脈、呼吸器疾患なども重要になります。

つまり、患者さんの持っている病気や検査結果、現在使用している薬などによって、適した薬は変わってきます。

また、ほかの降圧薬だけでは十分に血圧を下げられない場合には、利尿薬などを組み合わせることもあります。

このように、高血圧の薬は「どの薬が一番強いか」ではなく、その人の状態に合った薬を選ぶことが大切です。

まとめ

利尿薬とβ遮断薬は、どちらも高血圧の治療に使われますが、血圧を下げる仕組みも、特に活躍する場面も異なります。

利尿薬はナトリウムや水分の排泄を促すことで血圧を下げ、ほかの降圧薬と組み合わせて使われることもあります。

一方、β遮断薬は心拍数や心臓の働きを抑える作用があり、高血圧だけでなく心不全や狭心症、不整脈などの治療でも重要な薬です。

どの薬を使うかは、血圧の数字だけでなく、腎機能や電解質、心拍数、心臓や呼吸器の病気などを含めて決められます。

高血圧の薬は、それぞれの特徴を理解したうえで、その人の状態に合った薬を選ぶことが大切なのです。

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