投資による資産形成が進んでくると、いつかは会社を辞めて自由な生活を送りたいと考える人もいるかもしれません。しかし、完全に仕事を辞めるのではなく、自分の好きな仕事や副業を続けながら生活する方法もあります。
その一つが「Side FIRE(サイドFIRE)」です。
Side FIREは、資産運用による収入と、副業や自分の好きな仕事などから得られる収入を組み合わせて生活するスタイルです。
給与収入だけに頼らず、働き方を自分で選びやすくなる一方、生活費のすべてを資産だけで賄う必要はありません。
では、Side FIREを実現するには、どのくらいの資産が必要なのでしょうか。また、副業などを続けることには、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
この記事では、Side FIREの特徴や必要な資産額、メリット・デメリット、実現を目指すうえでの注意点を解説します。
なお、FIRE全体の基本的な意味や代表的なスタイルについては、こちらの記事で紹介しています。

Side FIREの特徴
Side FIREの最大の特徴は、資産運用による収入と、副業や個人事業などから得られる収入を組み合わせて生活することです。
一般的なFIREでは、資産運用による収入や資産の取り崩しによって、生活費のすべてを賄うことを目指します。一方、Side FIREでは、生活費の一部を自分の仕事から得られる収入で補うことを想定しています。
例えば、投資資産から毎月15万円相当を生活費に充て、不足する10万円を副業やフリーランスの仕事で稼ぐといった方法です。
このように、資産だけで生活することを目指すのではなく、自分の仕事を続けながら経済的な自由を広げていく点が特徴です。
好きなことや得意なことを仕事にできる
Side FIREでは、会社員としての給与収入に頼る必要性を減らし、自分の興味や得意分野を生かした働き方を選びやすくなります。
例えば、ブログや動画制作、Webライター、イラスト制作、プログラミングなど、自分のスキルを生かして収入を得る方法が考えられます。
また、個人事業を始めたり、以前から興味のあった仕事に挑戦したりすることもできます。
もちろん、好きなことを仕事にしても、必ず安定した収入が得られるとは限りません。それでも、収入だけを優先するのではなく、自分が続けたいと思える仕事を選びやすい点は、Side FIREの魅力です。
Barista FIREとの違い
Side FIREとよく似たスタイルに、Barista FIREがあります。どちらも資産収入と労働収入を組み合わせる点では共通しています。
この記事では、Barista FIREをパートやアルバイトなどの雇用による収入を組み合わせるスタイル、Side FIREを副業やフリーランス、個人事業など、自分の仕事から得られる収入を組み合わせるスタイルとして区別します。
ただし、実際には両者の定義が重なっていることもあり、明確に線引きできるものではありません。
それぞれの特徴を理解したうえで、自分がどのような働き方をしたいのかを考えることが大切です。
Side FIREは、完全に仕事を辞めるのではなく、資産と自分の仕事を組み合わせることで、働き方や時間の使い方に自由を持たせるスタイルです。会社や勤務時間に縛られず、自分らしい働き方を続けたい人にとって、一つの選択肢となります。

Side FIREに必要な資産額は?
Side FIREに必要な資産額は、リタイア後の生活費と、副業や個人事業などから得られる収入によって変わります。
生活費のすべてを資産から賄う必要はなく、自分の仕事で得た収入を差し引いた不足分を資産で補うことを想定します。
そのため、副業などで安定した収入を得られるほど、目標とする資産額を抑えられる可能性があります。
生活費と副業収入から必要な資産額を計算する
ここでは、年間の生活費から副業などによる年間収入を差し引き、不足分を資産から補う場合を考えてみましょう。
必要な資産額は、年間の不足額の25倍とする4%ルールを目安に試算します。
例えば、毎月の生活費が30万円で、副業から生活費に充てられる手取り収入が月10万円ある場合、資産から補う金額は月20万円です。
年間では240万円の不足となるため、必要な資産額の目安は6,000万円になります。
生活費と副業収入の組み合わせによって、必要な資産額は次のように変わります。
| 毎月の生活費 | 副業の手取り収入 | 毎月の不足額 | 必要な資産額の目安 |
|---|---|---|---|
| 30万円 | 5万円 | 25万円 | 7,500万円 |
| 30万円 | 10万円 | 20万円 | 6,000万円 |
| 30万円 | 15万円 | 15万円 | 4,500万円 |
| 35万円 | 10万円 | 25万円 | 7,500万円 |
| 35万円 | 15万円 | 20万円 | 6,000万円 |
| 40万円 | 15万円 | 25万円 | 7,500万円 |
※必要な資産額は、毎月の不足額を12倍して年間の不足額を求め、その25倍として計算した概算です。
このように、毎月の生活費が30万円の場合でも、副業収入が月5万円なら必要な資産額の目安は7,500万円ですが、月15万円の収入があれば4,500万円まで抑えられます。
副業収入は余裕を持って見積もる
Side FIREを目指す際に注意したいのが、副業や個人事業による収入の変動です。
会社員の給与とは異なり、仕事の依頼が減ったり、取引先との契約が終了したりすることで、収入が大きく変わる可能性があります。
また、売上がそのまま生活費に使えるわけではありません。事業に必要な経費や税金、社会保険料などを考慮し、実際に生活費に充てられる金額を基準に計画する必要があります。
例えば、副業で毎月15万円の売上があっても、経費や税金などを差し引いた手取り額が10万円程度になることも考えられます。収入を過大に見積もらず、余裕を持って試算することが大切です。
4%ルールはあくまで目安
今回の計算では、年間の生活費の不足分の25倍を必要な資産額の目安としました。これは、資産を取り崩す際の考え方として知られる「4%ルール」を参考にしたものです。
ただし、4%ルールは過去の運用実績をもとにした考え方であり、将来も同じ結果になるとは限りません。投資市場の下落や物価上昇などによって、想定より早く資産が減少する可能性もあります。
4%ルールの考え方や研究の背景については、こちらの記事で詳しく解説しています。

Side FIREを目指す際には、副業収入をどの程度確保できるかだけでなく、収入が減った場合や仕事を続けられなくなった場合も想定し、余裕を持った資金計画を立てましょう。
Side FIREのメリット
Side FIREのメリットは、資産収入と自分の仕事による収入を組み合わせることで、経済的な余裕と働き方の自由を両立しやすくなることです。
必要な資産額を抑えられる
Side FIREでは、生活費の一部を副業や個人事業などの収入で賄うため、生活費のすべてを資産だけで補う必要はありません。
そのため、完全に仕事を辞めて資産だけで生活するFIREに比べて、目標とする資産額を抑えられる可能性があります。
例えば、生活費が月30万円の場合でも、副業で手取り10万円を得られれば、資産から補う金額は月20万円になります。
必要な資産額が小さくなれば、資産形成にかかる期間を短縮できる可能性もあります。仕事を完全に辞めることを目指すのではなく、資産と仕事の収入を組み合わせることで、早い段階から働き方を変えられる点が魅力です。
好きなことや得意なことを仕事にできる
Side FIREでは、会社員としての給与収入に依存する割合を減らし、自分の興味や得意分野を生かした仕事に取り組みやすくなります。
例えば、ブログや動画制作、Webライター、イラスト制作など、自分のスキルを活用して収入を得る方法があります。また、趣味を生かした仕事や、自分で事業を立ち上げることも選択肢になります。
収入の安定性は仕事によって異なりますが、働く目的を収入だけに限定せず、やりがいや楽しさも重視できることは大きなメリットです。
働く時間や場所を自分で決めやすくなる
副業や個人事業を中心に働く場合、会社員のように勤務時間や勤務地が固定されない働き方を選べることがあります。
例えば、自宅で仕事をしたり、家族との予定に合わせて作業時間を調整したりすることも可能です。
また、資産収入によって生活費の一部を補えるため、仕事の量を増やして収入を最大化することだけにこだわらず、自分の生活に合ったペースで働くことを目指せます。
ただし、仕事の内容や取引先との契約によっては、納期や作業時間に制約が生じる場合もあります。必ずしも自由な働き方ができるとは限りません。
Side FIREは、資産収入を活用しながら、自分の好きな仕事や得意なことを続けられるスタイルです。経済的な安定だけでなく、仕事のやりがいや自分らしい時間の使い方も大切にしたい人にとって、魅力的な選択肢といえるでしょう。
Side FIREのデメリット・注意点
Side FIREは、自分の好きな仕事や得意なことを生かしながら自由な働き方を目指せる一方で、副業や個人事業による収入に依存するリスクがあります。実現を目指す際には、収入面だけでなく、仕事を続ける負担についても考えておく必要があります。
副業や事業の収入が不安定になりやすい
Side FIREでは、副業や個人事業などから得られる収入を生活費の一部に充てます。しかし、会社員の給与とは異なり、仕事の依頼や売上によって収入が大きく変動する可能性があります。
例えば、ブログや動画制作で収入を得ている場合、アクセス数や広告収入の変化によって収益が減少することがあります。また、フリーランスの場合も、取引先との契約終了や仕事の依頼減少によって、収入が途絶える可能性があります。
収入が減った分を資産から補うことはできますが、その状態が長く続けば、資産の取り崩しが想定より早く進んでしまいます。
副業収入を過大に見積もらず、収入が少ない時期でも生活できるよう、十分な生活防衛資金を確保しておくことが大切です。
仕事とプライベートの境界が曖昧になりやすい
副業や個人事業は、働く時間や場所を自分で決めやすい反面、仕事とプライベートの区別が曖昧になりやすいというデメリットがあります。
例えば、自宅で仕事をしていると、休日でも作業を続けてしまったり、納期に追われて自由な時間が減ってしまったりすることがあります。
また、収入を維持するために仕事を増やしすぎると、会社員として働いていた頃と同じように、仕事中心の生活に戻ってしまう可能性もあります。
Side FIREの目的は、単に働き方を変えることではなく、自由な時間を増やして自分らしい生活を実現することです。仕事の量や時間に一定のルールを設け、無理なく続けられる働き方を考える必要があります。
事業の運営や管理も自分で行う必要がある
副業や個人事業で収入を得る場合、仕事そのものだけでなく、営業や顧客対応、経費の管理、税金の手続きなども自分で行わなければならないことがあります。
会社員であれば勤務先が対応してくれる業務も、個人で仕事をする場合には自分で管理する必要があります。
特に、事業を拡大したり複数の仕事を掛け持ちしたりすると、こうした管理業務が負担になることもあります。
そのため、Side FIREを目指す際には、仕事で得られる収入だけでなく、事業の運営にかかる時間や費用も考慮しておくことが大切です。
Side FIREは、自分らしい働き方を実現しやすい一方で、収入の不安定さや仕事を継続する負担があります。自由な時間を確保するためにも、副業収入を楽観的に見積もらず、余裕を持った資産計画と無理のない働き方を考えましょう。
Side FIREが向いている人・向いていない人
Side FIREは、資産収入を得ながら、自分の好きな仕事や得意なことを続けたい人に向いているスタイルです。ただし、副業や個人事業を継続する必要があるため、働き方や収入に対する考え方によって向き不向きがあります。
Side FIREが向いている人
Side FIREが向いているのは、例えば次のような人です。
- 好きなことや得意なことを仕事にしたい人
趣味やスキルを生かして収入を得たい人や、自分で仕事を作ることに興味がある人に向いています。 - 会社に縛られない働き方を目指したい人
勤務時間や場所を自分で調整しながら、自由度の高い働き方を実現したい人にとって、一つの選択肢になります。 - 収入源を複数持ちたい人
資産運用だけでなく、副業や個人事業からも収入を得ることで、収入源を分散したい人に向いています。
Side FIREが向いていない人
一方で、次のような人は、Side FIREが自分に合っているか慎重に考える必要があります。
- 安定した給与収入を重視する人
副業や個人事業の収入は変動する可能性があります。毎月決まった収入を得たい人にとっては、不安を感じることがあるでしょう。 - 自分で仕事を獲得したり管理したりするのが苦手な人
個人で仕事をする場合、営業や顧客対応、経費管理なども自分で行う必要があります。こうした業務に負担を感じる人には、続けることが難しい場合があります。 - 仕事から完全に離れて自由に過ごしたい人
Side FIREでは、副業や個人事業を続けることが前提です。リタイア後は仕事をせずに過ごしたい人には、資産だけで生活するFIREの方が希望に合うかもしれません。
Side FIREを目指すうえで大切なのは、副業で収入を得られるかだけでなく、その仕事を無理なく続けられるかという点です。自分の得意分野や生活スタイルを踏まえ、長期的に続けられる働き方を考えましょう。
まとめ
Side FIREは、資産収入と副業や個人事業などの収入を組み合わせ、自分らしい働き方と自由な時間の両立を目指すスタイルです。
必要な資産額を抑えられる可能性がある一方、収入の変動や仕事を続ける負担にも注意が必要です。
自分の得意なことや生活スタイルに合わせて、無理なく続けられる資産計画と働き方を考えることが大切です。

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