今回からはビタミンA同様に最初に見つかった水溶性のビタミンであるビタミンB群についての解説になります。
ビタミンB群は「群」とかいてあるように1つではなく1~12までのビタミンがあります。ただ、すべての数字に対応したビタミンが存在しているわけではなく、数字を振られたもののあとからビタミンではないものなどが見つかっています。ちなみに、実は13以降もありますが、これらは現在はビタミンとして認められていません。
今回はその中の「B1」についてご紹介です。
- ビタミンB1って何に役立っているの?
- 病気にはなにがあるの?
- どんな食べ物に含まれているの?
といった疑問にお答えできればとおもいます。
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ビタミンB1の作用とは?
ビタミンB1は主に糖からエネルギーを得る過程で働いています。
小腸で吸収されたビタミンB1はチアミンピロリン酸(TPP)という物質に代わり、肝臓などの各臓器へ運ばれます。その後、細胞内のミトコンドリアに入り、糖やタンパク質の代謝に関係する補酵素として働きます。TPPはグルコースの代謝で特に有用であり、エネルギーとしてATPを産生します。
ビタミンB1がないときは、このATPが産生されないため、ATPを多く使う臓器に障害を与えます。また、代謝されなかったものは乳酸に変換されて蓄積されていき、代謝に影響を及ぼします。
また、TPPはタンパク質の代謝では必須アミノ酸の変換でも必要であり、アミノ酸代謝にも大きくかかわります。
ビタミンB1に関連する病気
ビタミンB1は水溶性のため、不足によっておこる病気はありますが、過剰症は普通はありません。これは過剰分が尿として排出されてしまうからです。
欠乏症
欠乏すると糖からエネルギーがとれなくなるため様々な症状が現れます。
欠乏症の初期症状としては、食欲低下、倦怠感、足のだるさ、知覚麻痺、動悸があります。
また、進行すると「脚気」を起こします。脚気には心不全症状がでる湿性脚気と神経症状だけの乾性脚気があります。
心臓や筋肉はATPを大量に使うため、欠乏すると心臓の動きが悪くなり動悸や足のむくみ、呼吸困難などの心不全の症状が出ます。そのため死亡例も稀ではありません。
神経細胞はエネルギー源としては糖しか使えません。ビタミンB1が不足すると、糖代謝が起こらず、神経症状としてウェルニッケ・コルサコフ症候群を起こします。この症状としては、短期記憶の障害、運動失調、失見当識障害(今日が何日なのか、ここがどこなのかなどがわからなくなる状態)などを起こします。
また、前述のようにビタミンB1不足により乳酸がたまると、重症のアシドーシスを起こし脳症や心臓病を悪化させてしまいます。
過剰症
前述のように過剰分は尿として排出されるため基本的には過剰症はありません。
ただ、静脈注射で推奨量の100倍以上を投与してしまうと、頭痛、痙攣、筋衰弱、不整脈が生じることが報告されています。
どんな食べ物に含まれるのか
ビタミンB1は様々な食品中に多く含まれます。
特にビタミンB1が多く含まれている食べ物としてはイラストの通りですが、豚肉や玄米、大豆、ウナギなどの食べ物になります。
また、そばにもビタミンB1は多く含まれています。

さいごに
今回はビタミンB1についてその役割や各種病気、含まれる食品などを紹介しました。
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