高血圧とは?原因・症状・放置するリスク・治療について分かりやすく解説

健康診断や病院で「血圧が高いですね」と言われたことはありませんか?

高血圧は、日本ではとても身近な病気です。しかし、

「血圧が高いだけなら、そこまで気にしなくてもいいのでは?」

「特に症状がないから大丈夫だろう」

「薬を飲み始めたら、一生やめられないのでは?」

と考えている人もいるかもしれません。

実は、高血圧は自覚症状がないまま進行し、長い期間にわたって血管や心臓、腎臓などに負担をかける病気です。

そのため、高血圧について正しく知り、血圧を適切に管理していくことが大切です。

この記事では、高血圧とはどのような病気なのか、なぜ血圧が高くなるのか、どんな症状があるのか、放置すると何が起こるのか、そしてどのように治療するのかを、できるだけ分かりやすく解説します。

高血圧とは?

血圧とは、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す力のことです。

血圧を測ると、「上の血圧」と「下の血圧」の2つの数字が表示されます。

例えば「140/90 mmHg」であれば、

  • 上の血圧(収縮期血圧):140 mmHg
  • 下の血圧(拡張期血圧):90 mmHg

となります。

上の血圧は、心臓が収縮して血液を送り出すときの血圧です。

一方、下の血圧は、心臓が拡張して血液をためているときの血圧です。

この血圧が慢性的に高くなっている状態が「高血圧」です。

高血圧の診断基準は?

日本高血圧学会では、高血圧症の診断基準として、診察室血圧で上の血圧が140 mmHg以上、または下の血圧が90 mmHg以上としています。

家庭で測定した血圧では、上の血圧が135 mmHg以上、または下の血圧が85 mmHg以上が高血圧の基準です。

ただし、血圧は時間帯や体調、緊張などによって変化します。

そのため、一度測った血圧が高かっただけで、すぐに高血圧と判断するわけではありません。

適切な方法で繰り返し測定し、必要に応じて医療機関で評価することが重要です。

なお、「高血圧の診断基準」と「治療によって目指す血圧」は同じではありません。

この点は少し分かりにくいところなので、後ほど改めて説明します。

なぜ血圧が高くなるの?

高血圧には、さまざまな原因があります。

大きく分けると、

  • 本態性高血圧
  • 二次性高血圧

の2つがあります。

本態性高血圧

高血圧の多くを占めるのが「本態性高血圧」です。

これは、特定の1つの病気が原因となって血圧が上がるのではなく、遺伝的な体質や生活習慣、加齢など、さまざまな要因が複雑に関係して起こる高血圧です。

例えば、

  • 食塩のとりすぎ
  • 肥満
  • 運動不足
  • 飲酒
  • 喫煙
  • 加齢
  • 遺伝的な体質

などが血圧上昇に関係します。

特に食塩摂取量は、血圧と深く関係しています。

そのため、高血圧の治療では「減塩」が重要なポイントの一つになります。

このシリーズでは、後ほど「高血圧と塩分の関係」について詳しく解説する予定です。

二次性高血圧

一方、別の病気や薬剤などが原因となって血圧が高くなっている場合を「二次性高血圧」といいます。

例えば、

  • 腎臓の病気
  • 内分泌の病気
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 特定の薬剤

などが原因になることがあります。

二次性高血圧の場合は、原因となっている病気を治療することで血圧が改善することもあります。

そのため、血圧が非常に高い場合や、治療をしてもなかなか血圧が下がらない場合などには、二次性高血圧が隠れていないかを調べることがあります。

高血圧には症状がある?

高血圧の大きな特徴の一つが、自覚症状がないことが多いということです。

血圧が高くても、普段と何も変わらず生活できる人は珍しくありません。

そのため、「症状がないから大丈夫」とは言えません。

頭痛や肩こり、めまいなどを高血圧の症状として考える人もいますが、こうした症状だけで高血圧かどうかを判断することはできません。

だからこそ、健康診断や家庭血圧などで定期的に血圧を確認することが大切です。

高血圧を放置するとどうなる?

高血圧で最も注意したいのは、長期間にわたって血管や臓器に負担をかけ続けることです。

血圧が高い状態が続くと、血管の壁に負担がかかり、動脈硬化が進みやすくなります。

その結果、将来的にさまざまな病気につながる可能性があります。

日本高血圧学会も、高血圧は将来の脳卒中、心臓病、腎臓病、認知症などのリスクを高める重要な要因として位置づけています。

脳への影響

高血圧は脳卒中の重要な危険因子です。

脳の血管が詰まる脳梗塞や、血管が破れる脳出血などにつながる可能性があります。

心臓への影響

心臓は、血圧が高い状態でも血液を送り出さなければなりません。

そのため心臓に負担がかかり、心肥大や心不全などにつながることがあります。

また、動脈硬化が進行することで、狭心症や心筋梗塞などの心血管疾患のリスクにも関係します。

腎臓への影響

腎臓には細かな血管がたくさんあります。

高血圧が長く続くと腎臓の血管にも負担がかかり、腎機能が低下することがあります。

さらに、腎機能が低下すると血圧がさらに上がりやすくなるという悪循環が起こることもあります。

高血圧になったら何をすればいい?

高血圧と診断されたからといって、必ずすぐに薬を飲み始めるとは限りません。

血圧の値だけではなく、

  • 年齢
  • 血圧の程度
  • 糖尿病の有無
  • 腎臓の状態
  • 心臓や血管の病気
  • 高血圧による臓器障害の有無
  • 生活習慣

などを総合的に考えて治療方針を決めます。

基本となるのは、生活習慣の改善と血圧の適切な管理です。

例えば、

  • 食塩をとりすぎない
  • 適正体重を維持する
  • 運動習慣をつくる
  • お酒を飲みすぎない
  • 禁煙する
  • 睡眠など生活リズムを整える

といった取り組みがあります。

ただし、生活習慣を改善しても血圧が十分に下がらない場合や、血圧の状態・リスクなどから薬物治療が必要と判断される場合には、降圧薬による治療を行います。

つまり、高血圧の治療は、

「薬を飲むか、飲まないか」だけではなく、生活習慣の改善と薬物療法を組み合わせながら、将来の病気を予防していくこと

が基本になります。

高血圧の薬にはどんなものがある?

高血圧の治療に使われる薬には、いくつかの種類があります。

代表的なものとして、

  • ARB
  • ACE阻害薬
  • Ca拮抗薬
  • 利尿薬
  • β遮断薬

などがあります。

これらは、それぞれ異なる仕組みで血圧を下げます。

例えば、血管を広げる薬、体内の余分な塩分や水分を排出する薬、血圧を上げるホルモンの働きを抑える薬などがあります。

また、患者さんの年齢や持病、腎機能、心臓の状態などによって、適した薬が変わることがあります。

そのため、

「高血圧なら、この薬を飲めばいい」

という単純なものではありません。

このシリーズでは、まず高血圧の薬にはどんな種類があるのかを知り、その後、それぞれの薬の特徴や使い分けについて詳しく解説していきます。

血圧はどこまで下げればいい?

ここで、先ほど少し触れた「高血圧の診断基準」と「治療目標」の違いについて整理しておきましょう。

高血圧の診断では、診察室血圧が140/90 mmHg以上などを基準とします。

一方、治療を行う場合の降圧目標は、これより低い値に設定されています。

日本高血圧学会の2025年版ガイドラインでは、基本的な降圧目標として、

  • 診察室血圧:130/80 mmHg未満
  • 家庭血圧:125/75 mmHg未満

が示されています。つまり、

「140/90 mmHg以上になったら高血圧と判断する」

ことと、

「治療では130/80 mmHg未満を目指す」

ことは別の話です。

ただし、実際の治療では血圧の数字だけを見て機械的に薬を増やしたり、目標値だけを目指したりするわけではありません。

年齢、持病、臓器の状態、治療による副作用などを考慮しながら、患者さんごとに適切な血圧管理を行うことが重要です。

高血圧は「血圧の数字」だけを見る病気ではない

ここまで読んで、「結局、血圧を下げればいいんだ」と思うかもしれません。

もちろん、血圧を適切な範囲に管理することは重要です。

しかし、高血圧の治療で大切なのは、単純に血圧の数字だけを下げることではありません。

高血圧によって将来的に脳卒中や心臓病、腎臓病などを起こすリスクを減らし、健康な状態を長く維持することが大きな目的です。

そのため、

血圧を正しく測る

自分の血圧を知る

生活習慣を見直す

必要に応じて薬を使う

血圧と健康状態を継続的に確認する

というように、長期的に管理していくことが大切です。


まとめ

高血圧は、自覚症状がないまま血管や心臓、腎臓などに負担をかける病気です。

放置すると脳卒中や心臓病、腎臓病などのリスクにつながるため、早めに血圧を把握し、適切に管理することが大切です。

治療では、生活習慣の改善を基本に、必要に応じて薬を使いながら血圧をコントロールしていきます。

まずは自分の血圧を正しく知ることから始めてみましょう。

次回は、家庭血圧の正しい測り方について詳しく解説します。

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