高血圧と分かったとき、「食事に気をつけたほうがいい」と言われることがあります。
高血圧の食事というと、まず思い浮かぶのが「減塩」ではないでしょうか。
もちろん減塩は高血圧の食事療法でとても重要です。
しかし、高血圧の食事療法は、塩分だけを減らせばよいわけではありません。
野菜や果物などの取り入れ方、脂質のとり方、体重管理、食事全体のバランスなど、さまざまな点を考えることが大切です。
今回は、高血圧の人が知っておきたい食事療法について、できるだけ普段の食生活に取り入れやすい形で解説します。
高血圧の食事療法で大切なこと
高血圧の食事療法で、まず意識したいのが次のようなポイントです。
- 食塩をとりすぎない
- 野菜や果物を適切に取り入れる
- 魚や大豆製品などを含め、バランスのよい食事を心がける
- 脂質のとりすぎに注意する
- 食べすぎを避け、適正体重を維持する
- 飲酒量を見直す
大切なのは、「血圧に良い食品を一つ見つけて、それだけを食べる」という考え方ではありません。
毎日の食事全体を見直し、長く続けられる食生活にしていくことが重要です。
まずは減塩が基本
高血圧の食事療法で、特に重要なのが減塩です。
高血圧の人では、食塩摂取量を1日6g未満にすることが推奨されています。
ただし、減塩については前の記事で詳しく解説しています。

この記事では、減塩以外の食事のポイントについて見ていきましょう。

野菜や果物を取り入れる
高血圧の食事では、野菜や果物を適切に取り入れることも大切です。
野菜や果物には、カリウムなどの栄養素が含まれています。
カリウムには、体内の余分なナトリウムの排泄を助ける働きがあり、血圧との関係が知られています。
2025年版の「日本人の食事摂取基準」では、成人のカリウムの目標量は男性3,000mg/日以上、女性2,600mg/日以上とされています。
ただし、カリウムは「多ければ多いほどよい」というわけではありません。
腎臓の機能が低下している場合など、カリウムの摂取に注意が必要なことがあります。
腎臓病などで食事について指示を受けている場合は、自己判断でカリウムを増やさず、医師や管理栄養士に相談しましょう。
魚や大豆製品なども取り入れる
高血圧の食事では、特定の食品だけを意識するのではなく、さまざまな食品を組み合わせてバランスを整えることが大切です。
例えば、
- 魚
- 大豆製品
- 野菜
- 海藻
- きのこ
- 全粒穀物
などを普段の食事に取り入れていく方法があります。
肉を食べてはいけないということではありません。
魚や大豆製品なども組み合わせながら、食品の種類が偏らない食事を心がけましょう。
脂質のとりすぎにも注意する
高血圧では、塩分だけでなく脂質のとりすぎにも注意しましょう。
特に揚げ物や脂身の多い肉などを頻繁に食べている場合には、食べる量や頻度を見直してみるのも一つの方法です。
一方で、脂質を完全に避ける必要はありません。
魚や植物性食品などからとれる脂質もあります。
「脂質は悪いもの」と一括りにするのではなく、食事全体のバランスを考えることが大切です。
食べすぎを避け、体重を管理する
体重が多い場合には、食事量を見直すことも高血圧の改善につながります。
特に、
- 間食が多い
- 夜遅くにたくさん食べる
- 清涼飲料水や甘い飲み物をよく飲む
- 外食や高カロリーな食品が多い
といった習慣がある場合には、できるところから見直してみましょう。
ただし、極端な食事制限をする必要はありません。
「食べない」のではなく、食事量や食品の選び方を調整し、無理なく続けられる方法を探すことが大切です。
お酒の量も見直してみる
飲酒量が多い場合には、お酒との付き合い方も見直してみましょう。
毎日たくさん飲んでいるのであれば、量を減らしたり、飲まない日をつくったりすることも一つの方法です。
お酒については「何を飲むか」だけでなく、どのくらい飲むかが重要です。
また、飲酒に伴って塩分の多いおつまみを食べすぎてしまうことにも注意しましょう。
「DASH食」とは?
高血圧の食事療法について調べると、「DASH食」という言葉を目にすることがあります。
DASHは、Dietary Approaches to Stop Hypertensionの略で、高血圧を改善するための食事パターンとして研究されてきたものです。
DASH食では、野菜、果物、全粒穀物、低脂肪の乳製品、魚、鶏肉、豆類などを取り入れ、飽和脂肪酸やコレステロールなどを多く含む食品を控えることが基本的な考え方です。
単に「血圧に良い食品を食べる」というものではなく、食事全体の組み立て方を変えるという点が特徴です。
日本の食生活にそのまま当てはめる必要はありませんが、高血圧の食事を考えるうえで参考になる考え方の一つです。

外食やコンビニではどうすればいい?
高血圧だからといって、外食やコンビニを完全に避ける必要はありません。
大切なのは、選び方を少し工夫することです。
例えば、
- 麺類ではスープを全部飲まない
- 定食では野菜が含まれているものを選ぶ
- 揚げ物ばかりにならないようにする
- 栄養成分表示の「食塩相当量」を確認する
- 惣菜を組み合わせるときは塩分の多い食品が重ならないようにする
などの方法があります。
「外食だからダメ」と考えるより、その中でよりよい選択をすることが大切です。
「血圧に良い食べ物」だけ食べればいい?
インターネットやテレビでは、「血圧に良い食べ物」としてさまざまな食品が紹介されることがあります。
しかし、特定の食品を食べるだけで高血圧が治るわけではありません。
例えば、野菜や果物を積極的に食べても、同時に塩分を多くとっていたり、食べすぎで体重が増えていたりすれば、食事全体としては改善が必要です。
大切なのは、一つの食品に注目するのではなく、食事全体のバランスを整えることです。
高血圧の食事療法は「続けられること」が大切
高血圧の食事療法は、短期間だけ頑張れば終わるものではありません。
そのため、
「すべて薄味にする」
「好きなものを全部やめる」
「毎日完璧な食事をつくる」
といった方法では、長く続けるのが難しくなってしまいます。
まずは、
- 塩分を少し減らす
- 野菜を一品増やす
- 魚や大豆製品を取り入れる
- 間食や甘い飲み物を見直す
- 外食の選び方を変える
など、自分が続けやすいところから始めてみましょう。
小さな工夫を積み重ねて、毎日の食事そのものを少しずつ変えていくことが大切です。
まとめ
高血圧の食事療法では、特定の食品だけに注目するのではなく、毎日の食事全体を見直すことが大切です。
減塩を基本に、栄養バランスや食事量にも目を向けながら、無理なく続けられる食生活を目指しましょう。
最初から完璧を目指す必要はありません。まずは自分の食生活で改善できそうなところから、一つずつ取り組んでみましょう。


コメント